中国人客の購買に変化が見られる。百貨店の春節(中華圏の旧正月)商戦は、昨年の春節商戦と比較して客数は3~4割増となったのに対し、免税売上高は前年並みから約1割増という結果。時計や宝飾品といった高額品の大量消費は減少傾向にあり、「興味を抱く商品の多様化、かつ日本人同様に吟味して買い物するようになった」ようだ。食やサービスなど「コトへの関心」も高まっている。
三越銀座店は「比較購買する客が増えている」。そのためファッションでは接客でじっくり試着することを勧め、紳士服ではスプリングコート、婦人服では春カラーのアイテムがよく売れた。レストランの利用客が以前よりも増え、とんかつ、イタリアン、飲茶と幅広く取り込んだ。1月末に導入した空港型市中免税店は「空港型特有の買い物の仕方がまだ客になじんでいない。アピール不足もある」と、課題が見えたスタートとなった。
松屋銀座本店は、昨年に外国人に特化した売り場を新設した効果で、化粧品の高い伸びを維持。「意外だった」とするのが6階のヘアサロン。これまで中国人客はほぼいなかったが、この春節商戦では20~30人が利用し「日本のヘアカタログを見て注文する客がいた」という。
西武池袋本店は、特に食品、化粧品の伸びが顕著だった。「目的買いのリピーターが増えた。中国景気の減速の影響はほとんど見られない」ものの、買い物と観光の2軸で訪日する客が増えていると分析する。
大丸松坂屋百貨店は京都店、名古屋店、心斎橋店の免税売上高が2ケタ増。どの店舗も100万円以上の高額品が減る一方、化粧品や特選ブティックが伸長した。なかでも子供服や婦人肌着が2ケタ増と好調だった。「家族連れなど小単位での個人旅行客が多く、お土産というよりも自分のために買い物している客が増えている印象」だ。