大丸松坂屋百貨店は紳士靴で、足を包み込むような履き心地が特徴のボロネーゼ製法にフォーカスし、売り場活性化に取り組んでいる。来春に改装する松坂屋名古屋店を皮切りに、各店の紳士靴売り場を同製法やグッドイヤーなど“製法軸”の編集に切り替える。ブランドやテイスト、価格を切り口にする他社と差別化するのが狙いだ。
取り組みの第1弾として4月から、大丸と松坂屋の8店舗でボロネーゼ製法の協業商品を増やした。販売を始めたのは「ベン&サンズ」「ヴィア・ルーチェ」「フウガシン」の3ブランドで、各5型。それぞれモロッコ、秋田県、ベトナムに工房を持つ。店舗のスケールメリットを生かして協業開発することで、3万円台に抑えた。
ボロネーゼ製法は「イタリアの伝統的な製法の一つだが、日本では限られたブランドでしか流通しておらず、価格は5万円以上が中心」(今泉悠樹自主事業統括部バイヤー)。これまでも同製法の商品を扱っていたが、1万8000~2万5000円のプライスライン(最多販売価格)とは大きく隔たりがあった。価格を抑え、「まずは興味を持ってもらえるようにした」。
「履きやすさが一番の売り」のため、店頭ではPOPなどで積極的に試着を促している。女性の販売員でも説得力ある接客をするため、同製法で婦人靴のサンプルを作り、履き心地を実感できるようにする。秋にはさらにブランド数を増やし、各価格帯で同製法のアイテムを揃える。