ジーンズを担当して20年の繊研新聞記者が、方々で仕入れてきたジーンズ&デニムのマニアック過ぎる話を、出し惜しみせず書き連ねます。今回は、ジーンズの仕上がりを決定付けるインディゴ染めから2つ目のトピックを―――。
2、ガラガラヘビは藍が嫌い~インディゴ染めの話~
一般に、ジーンズははき込むほどに、生地の表面が擦れて染料の付着した青い部分が削れていき、繊維の中の白い部分がでてくる。いわゆる色落ちが起きる。座ったときのしわの凸部や、いつもポケットに入れる財布の部分などにあたりといわれる、擦れて白い部分ができる。
こうして自分のジーンズになっていくのが楽しいという人が多い。「服は新品のときが一番いい状態で、それからくたびれていくばかりだが、ジーンズは買ったときがスタート。はきこむほどに自分のジーンズへと育っていく」とあるジーンズメーカーの人がその魅力を語ったことがある。
本藍はかせ染めという方法で染めることが多い。かせ染めは糸の束を染めて空気に触れさせるという工程を何十回も繰り返すことで、糸の中まで染料が入り込み、はき込んでも色落ちしにくい。
本藍染めは手間と時間がかかるためにすごく高価なものになる。そのため、「本藍染め」をうたったジーンズでも本藍100%ではなく、合成インディゴと混ぜて染めたものや、合成インディゴで染めてから最後に本藍で染めたものなど”ブレンドもの”がかなり混ざっている。
本藍のジーンズを購入する場合、本藍100%と書かれていない限りは、そのことを念頭に置いておいた方がいい。
藍の成分には抗菌防臭性や虫よけの効果があるといわれる。また、ガラガラヘビはインディゴの匂いを嫌うので、ゴールドラッシュの時代に米国・西部で金鉱を掘っていた労働者にとって、ジーンズは丈夫な作業着であるとともに、ガラガラヘビよけの意味もあった。
ただ、日本のあるテレビ局が番組の中でそれを試してみたところ、ジーンズをはいていてもガラガラヘビは噛み付いたそうだ。
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