東大阪の町工場が紡ぐ「無回転糸」 ニット糸のエップヤーン、20年間蓄積したデータを活用

2025/09/24 15:00 更新有料会員限定NEW!


撚糸機の制御をタッチパネル方式にし誰でも扱えるようにした(筒井社長)

 ものづくりのまち、大阪・東大阪市にあるエップヤーン(筒井利彦社長)は、得意とするリネンなど各種ニット糸の企画・製造・販売をする会社。過去20年間に自社で蓄積した2万5000もの撚糸の試験データを活用し、〝回転しない〟撚り糸を生み出す。トルクバランスが取れた糸で製品化するとTシャツやニットは長年ゆがまず、形崩れもしないという。

毎年のように設備増強

 00年の創業。10年ほどは筒井社長と両親の3人で、糸の製造は外部委託するファブレス形態だった。機械と言えば、製造委託先から戻る糸サンプルの斜行試験をするための卓上の小型撚糸機を持っているぐらいだった。

 その後、委託先の工場の一部に廃業する所も出てきたため、細かなサンプル依頼がしにくくなってきた。そのため、13年に20錘(すい)、日産10キロほどのコンパクトな撚糸機を導入した。するとサンプル作成が飛躍的に早くなり、斜行試験の精度も高まった。翌年からは新しい撚糸機や糸巻き機なども購入、その後も毎年のように設備を増強した。

撚糸機や編み機、ミシンなど少しずつ設備を増設した。3階は主に開発や試験用

 18年には工場が手狭になったため現在の場所に移転。本生産も出来る大きな機械も1台購入、サンプルから本生産までまかなえる現在の形に至った。今は社長と父親に加え、5人の従業員で作業にあたる。その後コロナ禍に襲われたものの、自社でまかなえる体制が整っていたため、ことなきを得た。他社は外注先の廃業等もありサンプルさえも作りづらくなっていたから、競争優位に立った。

本生産も出来る機械を備える1階

回転しない一点を探し

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