中国市場でもサステイナビリティー(持続可能性)の重要性が増している。ここ数年、素材分野でエコ、環境配慮型と並んで重要なキーワードとなっていた。素材メーカーは、欧米市場を意識した提案が中心だった。ここにきて中国アパレルもサステイナブルを意識し始めている。中国消費者の意識の高まりを受けての対応とみられる。10月8~20日に上海で開かれた上海ファッションウィークは、そうした消費者意識の変化を反映した内容となった。
(上海支局)
ニット糸の展示会「スピンエキスポ上海」では、日系企業のキュプラ「ベンベルグ」やトリアセテートの提案が増えている。和紙繊維の人気も高い。世界最大のテキスタイル展示会「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス」でも、多くの日系企業がサステイナブルを切り口に素材を提案し好評だった。オーガニックコットンも目立ったが、米中貿易摩擦の影響で新疆綿の使用が難しくなっているため欧米向けにトルコ綿を出す企業もあった。
インテキ上海では、通常のトレンドコーナーに加え大規模なサステイナブル素材のコーナーを設置した。デュポン、レンチング、インビスタなど欧米企業は、従来通り大きなブースを構え自社の環境配慮技術を含めた先進的な技術を紹介した。
上海ファッションウィークでは主催者の上海時装周組委会が運営する「モード上海」で、会場に入ってすぐの場所にサステイナブルの大きなゾーンを設置、デュポン、レンチングなどが環境配慮素材を製品サンプルとともに出展した。同コーナーでは欧州の大手SPA(製造小売業)が、自社の取り組みを紹介したほか、1ヘクタール当たりの収穫量が19年実績で1969キログラムと全国平均の1763キログラムを大幅に上回っている新疆綿についても関連団体が綿花と製品を出展した。
(繊研新聞本紙20年10月23日付)