【ファッションとサステイナビリティー】デカトロンディストリビューションジャポン代表取締役 ロック・ニコラ氏 26年までに全製品をエコデザイン化

2023/05/31 05:29 更新


ロック・ニコラ氏

 スポーツ用品を製造・販売する仏デカトロンが、カーボンニュートラルの取り組みを強めている。「エコデザイン」化した製品の拡充や、製品の長寿命化などを通じ、CO2(二酸化炭素)排出量の削減を目指す。レンタルサービスも拡充する。日本法人代表のロック・ニコラ代表に、サステイナビリティー関連の施策を聞いた。

 「デカトロン」は、多くの人にスポーツの良さを広げることをコンセプトにしていますが、これに加えてスポーツを行う環境を守ることも大切だと捉えています。しかし製品の製造・輸送・販売などで私たちは地球に衝撃を与えていることを自覚しています。そこで19年から環境に配慮した製品設計「エコデザイン」プロジェクトを始めました。例えば、オーガニックコットンを製品全体の90%以上で使用していたり、製品重量の70%が再生ポリエステルから作られていたりした場合、エコデザインと呼んでいます。エコデザインの対象は、素材だけでなく、染色など製造工程も含んでいます。

 エコデザインで設計された製品は、従来品と同じ品質を保ちながら、環境インパクトを軽減することを目指しています。そして私たちは26年までに全ての製品をエコデザイン化することを目標に掲げています。エコデザインは全社挙げたプロジェクトで、新製品を作る際は全デザイナーがエコデザインの観点を踏まえ、開発に挑みます。22年段階では23%まで同比率を高めることができました。

 製品の長寿命化も課題です。ファスナーの共通化やボタンサイズを限定するなど資材の種類を抑え、修理をしやすくしています。26年までにこうしたリペアラブルな製品が全製品の30%を占めるよう仕様の見直しを進めています。

 エコデザインを採用することで、価格を上げることはありません。デカトロンは、ベストバリューを提供することをミッションとしています。製品に環境インパクトを軽減する内容を付加したとしても、価格を上げるつもりはありません。

 パフォーマンスや性能をイノベーションするだけでなく、サステイナビリティーをもイノベーションしていきたいと考えています。大事なのは、私たちとビジョンを共有し、長期に取り組めるパートナーの存在です。今後も素晴らしいパートナーとの出会いに期待し、探索を続けていきます。

 循環型経済を促進するため、レンタルサービスも強化します。既に本国ではアウトドア製品や自転車、スキーなどでレンタル事業を始めていますが、日本でも伸び代があると見ています。レンタル業者やホテル、サイクリングツアー会社、マリンスポーツ関連企業などと組むことで、様々な機会を創出できるでしょう。

 レンタルサービスは、(アクティビティーの)経験者を増やすマーケティングの一環でもあります。若い人たちは所有より「シェア」や「体験そのもの」に価値を置くようになっています。従来の販促活動と比べると効果が表れるまでに時間はかかりますが、経験者が増えれば、ブランドへの強い支持者になるはず。製品寿命を長くし、稼働率を高めることはサステイナビリティーにもつながります。デカトロンでは30年までに売り上げの30%をレンタルサービスで構成させる計画です。

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(繊研新聞本紙23年5月31日付)

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