帝人フロンティアは前期、企業理念を「私たちは新たな価値を創造し、美しい環境と豊かな未来に貢献します」に変えた。「美しい環境という文言にこだわった」と日光信二社長。「環境を守るだけでなく、自分たちの技術、製品、サービスを通じて今よりも美しい環境を作る」という強い意志を込めた。
環境活動指針だった「シンクエコ」を環境戦略に格上げし、「素材からエコにこだわろう」「きれいな空気と海を守ろう」「省エネな毎日を送ろう」を重点目標に掲げる。特筆すべきは、それぞれで30年度に達成する具体的な目標を数値で設定した点だ。
例えばリサイクルポリエステルなど再生原料を使った商品の比率を全体の50%に引き上げる、などだ。現状は約10%だけにかなり意欲的な目標だ。「技術力を磨き、超異形断面や超極細など高難度な糸を含めた全商品を再生原料で作れる」ことが背景にある。
「再生原料だから高いでは買ってもらえない」と先端技術開発と同時にコスト低減を実現する投資を強める。「今後提供するのは再生原料がベースになる」と日光社長。従来のバージンポリエステルを基本とする事業構造を変える大きな変革だ。
(繊研新聞本紙20年7月28日付)