フレックスジャパン リサイクルシャツ生産へ

2020/01/11 06:29 更新


 シャツメーカーのフレックスジャパン(長野県千曲市)は日本環境設計と共同で、消費者の古いシャツを回収してリサイクルし、シャツに再生するプロジェクトを開始した。回収したシャツを分別して日本環境設計が原料に再生し、その再生糸を使ってフレックスジャパンがシャツを作る。日本環境設計はすでにニットやTシャツに再生した実績はあるがシャツはまだ開発中で、両社で1年後の製品化を目指す。

(藤川友樹)

 日本環境設計の衣料品を回収してリサイクルするプロジェクト「ブリング」に参画した。すでに自社ブランド「軽井沢シャツ」の高島屋立川店に回収ボックスを設置しており、来年2月には国内の直営店6店に広げる。

シャツのクリップなどの付属を外して客に渡すサービスやシャツの回収ボックスを設置(軽井沢シャツ高島屋立川店)

 約20年前にも再生ペットボトル原料のリサイクルシャツを開発したが、需要が想定したほどではなく中止していた。同社のシャツの中心価格帯である2900円より割高の3900円で、サステイナブル(持続可能な)への関心もまだ低かったことが要因。今回製品化を目指す商品は4900~5900円と軽井沢シャツの中心価格と同程度にし、消費者のエコへの意識も急速に高まっているため、勝機はあるとみる。

 同社は長野県からSDGs(持続可能な開発目標)推進企業に認定されており、これら以外にもすでに様々なサステイナブルな取り組みを推進している。

 その一つが、シャツの保形具などの付属品の見直しだ。シャツの付属品は数が多いが、購入後は不要になる。「消費者にとってはそれを捨てるという行為に罪悪感を感じている可能性があるため、そうした心理的負担を軽減する」(矢島隆生社長)狙いもある。

 軽井沢シャツなど国内直営6店では、高島屋立川店を皮切りに、シャツの購入時にカラーセットやキーパー、クリップなどのプラスチック製副資材を外して渡すサービスを始めた。その結果、「客の8~9割が取り外すことを要望する」ことが分かった。副資材が必要な客には紙製のものに付け替えて渡しており、回収したプラスチック製副資材は長野の自社工場に送って再利用している。

シャツの保形具などの資材を外して客に商品を渡している(軽井沢シャツ高島屋立川店)

 20年2月からはプラスチック製買い物袋をFSC(森林管理協議会)認証を取得した紙製に切り替える。

 「シャツ2枚に使われているプラスチック製の副資材は500ミリリットルのペットボトル1本分に相当する」といい、自社ブランド「ル・コーニュ」では今年秋からカラーセット、キーパー、クリップの3点セットを紙製に切り替えた。すでに約1万枚を店頭に投入しており、今後1年で約8万枚にまで広げる。OEM(相手先ブランドによる生産)の取り組み先からの引き合いもあり、さらに増えそうだ。

 また、オーダーシャツでは、来年から紙製の保形具なども使わず、シールで数カ所を留めるだけにして客に届ける予定。生産から配送までのリードタイムが短く、シャツを大量に重ねて輸送する商品ではないためシールでも問題ないという。

(繊研新聞本紙19年12月27日付)

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