移動販売とゴルフで急成長 せーの「#FR2」 消費者心理くすぐる「簡単に買えない」

2022/01/21 06:30 更新有料会員限定


全国訪問を記念し1月8~10日に東京・原宿で開催した販売会も初日には行列ができた

 カジュアルウェアメーカー・小売りのせーの(東京)が昨年始めたファッションブランド「#FR2」の二つの新事業が成長している。移動販売車業態「#FR2DOKO?」は21年2~12月、47都道府県・138都市を訪問し、171回の販売で約2億6000万円を売り上げた。21年4月にスタートしたゴルフウェア・雑貨ブランド「#FR2ゴルフ」は、毎月末・24時間限定という販売方法で初年度売上高3億円を見込む。「ネットで何でも買える便利な時代だからこそ、みんな簡単に買えないものが欲しい。ユニークな売り方が響いている」(石川涼社長)という。

(友森克樹)

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こちらから売りに

 コロナ下で都市部を中心に実店舗の集客が鈍くなるなか、「みんなが動けなくなっているなら、僕らが売りに行けばいい」と、DOKO?(ドコ)を始めるに至った。2度目の緊急事態宣言が発出される直前の20年末ごろに始動を決断。1カ月強で移動販売車を製作し、販売を始めた。決断から実行までのスピードは、強みの一つだ。

全国各地を訪問する「#FR2DOKO?」は、検温・消毒など感染対策にも配慮して行う(1月8日、東京・原宿で)

 ドコが面白いのは、フランスの位置情報共有アプリ「ゼンリー」を活用している点だ。開催概要は、日時と都道府県・都市のみを告知し、詳しい場所は非公開。アプリユーザーのみが地図上の移動販売車を追いかけて探し出せる仕組み。当初、アプリの仕組みをうまく利用して独自に使っていただけだったが、ゼンリー側からのアプローチで現在は協業している。「ゼンリーは『協力させてほしい』と2、3日で自らイメージ動画を作ってくれた。このスピードに感動して協業を決めた」という。

 初回は、21年2月20日に茨城の水戸市と下妻市、21日に群馬の高崎市と富岡市の予定だったが、4回分用意していた在庫が水戸市で完売し、「この事業は間違いなく伸びる」と手応えを得たという。その時点で2台目の大型移動販売車を発注。現在は3台で運営している。

 全国各地で行列を作るドコの客層は、カップルなどの若者が多いが、家族客や40~50代もいる。客単価は2万円弱。1日の最高売り上げは、6人組ガールズバンド「BiSH」のライブ会場で開催した際で、1100万円超となった。地方での通常開催でも300万円超となることもある。開催にかかる賃料を低く抑えられているため、営業利益率は高く、非常に効率が良いという。

購入のハードル高く

 そのドコを超えるのが#FR2ゴルフだ。鍵付きのインスタグラムアカウントのフォロワーのみが購入できる仕組みで、さらに購入ページにはパスワードがないとアクセスできない。パスワードは毎月変更され、ストーリー上に24時間しか掲載されない。その入手困難さから、発売日にはアクセスが集中し、争奪戦になるという。現在、東京・明治神宮外苑ゴルフ練習場に広告を掲載しているが、どこで買えるか分からない、分かっていても簡単に買えないことで、消費者の興味をそそる。

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