ゴルフをブームで終わらせないようにするには、業界はどうあるべきか。ゴルフ練習場、小売り、メーカー関係者に聞いた。
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練習場をエンタメ空間に
話題の施設「ロイヤルグリーン水戸」を運営 荒川徹平さん
今の姿にフルリニューアルしたのは、21年4月です。それまでは、旧態依然としたゴルフ練習場だったのですが、ボウリング場のように楽しめるゴルフ&エンターテインメント空間に変え、カップルやファミリー、グループが来やすくしました。
イメージしたのは、米「トップゴルフ」の日本版。(ゲーム感覚で疑似ラウンドを楽しめる)トップトレーサー・レンジを全打席に導入したほか、カフェやセレクトショップなども併設し、レジャー空間に変えたのです。スクール事業では、サブスクリプション型のレッスン受け放題プランも始めました。
お酒を飲みながら、パーティー感覚で打ちっぱなしをするなんて、以前のゴルフ練習場ではできません。ですからリニューアル時には「ゴルフ練習場をやめました」とあえて宣言し、従来のお客様にコンセプトが変わったことをアピールしました。
リニューアルから2年経ちましたが、利用者は増え続けています。お客様が大きく入れ替わり、遠方からわざわざ訪れる人もいます。年齢層は若返り、ママや子どもと一緒に来られるお客様も増えましたね。
利用者がショップやカフェなどゴルフ練習以外のところでお金を落としてくれるようになったことで、客単価は大きく上がっています。一球4~5円だったボール単価も倍になりました。顧客向けのバーチャルコンペイベントを当施設で開催するなど、他社との連携も増えています。
我々が大幅リニューアルに踏み切ったのは、ゴルフがブームだからではなく、地域貢献が目的です。当施設が立地する茨城県は、人口に占めるゴルファー比率が日本一で、ゴルフ場も練習場もたくさんあります。ゴルフ場利用税は、ゴルフ場経営者を通じて県に納められ、その7割はゴルフ場がある市町村に交付される仕組み。つまり、ゴルファーが減ると、税収の減少につながってしまいます。「ゴルファーを増やすことができるのは我々ゴルフ練習場だけ」という視点に立ち、改装に取り組んだのです。
我々は装置産業ではなく、サービス産業。ゴルフボールを打つための場所ではなく、(楽しく)過ごす時間を提供しているのです。社内では「新しい文化を作ろう」と呼びかけています。可能性はまだまだたくさんありますよ。
お客熟知し関係築いて
町田に「ハルクスポーツ」開業 福山統さん
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