ワールドのバッグ・革小物ブランド「ヒロコハヤシ」が堅実に伸びている。独自性の強いデザインがファンをつかむ一方、15年に導入したデイリーラインが新規客を広げ、16~17年秋冬も売上高を伸ばした。
特徴はアート感を盛り込んだ独自の素材とフォルム、機能性も加味したデザイン。素材の革や布帛には多様な加工で表面感を工夫してあり、主にイタリア素材を日本で仕立てている。
15~16年秋冬からMDの見直しに着手し、バッグの強化、シーンを想定した提案に乗り出した。デザイナーの自由な発想を生かした企画が中心だったが、より日常的に使える企画を基本に据えた。それまで商品構成は財布70%、バッグ30%だったが、バッグで客層を広げるため、トートバッグを初めて企画するなど、シンプルなバッグを充実、新規客を広げた。
一方、16年春夏にはデザイナーの発想をそのまま表現したコレクションラインを導入し、コアな顧客も固めて売れ行きも堅調で、高い消化率に結びついた。16~17年秋冬はジャカードをアクセントにした縦長トートバッグ(5万3000円)などがヒットし、今春夏は麻とシープレザーを組み合わせた丸いフォルムのモノトーンバッグ(8万8000円)がヒットするなど、珍しい形のバッグが売れている。
16~17年秋冬の既存店の売上高は、9月が前年同期比11%増となるなど、月ベースで前年実績を超え、バッグの構成比が33%にアップした。端境期に雑材を中心とした2万円台のラインを投入していることも、売り上げを安定させている。
現在の販路は直営店の東京・青山、銀座のほか、三越日本橋本店、恵比寿三越(3月に閉店予定)で、昨年8月オープンの小田急百貨店新宿店が好調だ。ほかに数店の百貨店に卸している。春夏は期間限定店を数店出し、今後は関西や名古屋などにインショップを検討している。