ブランドやショップの魅力を伝え、客を引き付ける重要な役割を担う人材。客視点や満足度向上に、日々の学びと努力で経験を積んでいる。成長やスキルアップには会社のサポートも大切。会社の成長を支える期待の戦力に環境や思いを聞いた。
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グランフロント大阪南館4階にあるスイムブランド「アリーナ」ショップ(デサントジャパン運営)で、今年4月から販売職正社員として働く池田拓親さん。就学前から水泳教室に通い、中・高では部活に打ち込み、大学時代は2年間、スクールでコーチを務めた経験がある。初心者・競技者・保護者の気持ちをよく知っているからこそ、当事者に寄り添った接客ができるのが強みだ。

周囲への気配り大事に
例えばこれから水泳教室に小さな子供を通わせる親が来たときは、1人で着替えられるよう着やすい水着を提案する。一方、競泳への転向を検討している児童・生徒なら試合用と練習用に水着を使い分けることをアドバイス。「練習を繰り返すうちに生地が伸びてしまい、本番で水の抵抗を受けやすくなってしまう」からだ。トップモデル「アクアフォースストーム」については、購入者に「使い初めが一番きつく感じるから、試合前に一度使って感触を確かめて大会本番も時間に余裕を持って着るように」と助言する。こんな「超」実践的な接客が好評で、「彼を頼りに店に再来店するお客様も徐々に増えている」(山本文店長)。
一方で新人らしい失敗も。7、8月の繁忙期には、1人のスタッフで複数の客を同時に対応するケースが起きる。ある時、池田さんは応対中の客につきっきりになり、長い間レジ待ちをしていた人に気付けず、不快な思いをさせてしまった。「たとえ忙しくても周囲に気を配り、お待ちしているお客様にひと言でも声掛けできれば良かった」と反省する。
外国人客への対応も
急増する外国人客への対応も必須業務だ。アジア圏ではスイミング人気が上昇しており、自国でジュニア用の水着やアリーナ製品を買えない客が少なくない。そのため来店時にまとめ買いするケースが増えている。当然、英語でのやり取りが求められる。
池田さんは一連の販売業務でよく使うフレーズを暗記し、どうしても意思疎通できない相手とは翻訳アプリを使う。特に「サイズにはどんな言語でも聞き取れるようにしている」。また、「あいさつやお礼の言葉だけでもいいので、お客様の母国語で話すことを心掛けている」という。
9月からは購買客数など個人別の目標値が定められ、月ごとに先輩や店長と達成度を振り返るようになった。ひとまず接客数が少ないことが分かったので「ファーストアプローチや声掛けをより積極的に取り組むようにしている」。
目標は店長。店頭動向を踏まえた商品企画やマーケティングにも関心があり、「将来は本社で総合的にブランド価値を高める仕事に携わりたい」との夢を持つ。
(繊研新聞本紙25年11月17日付)
