インドテキスタイルが日本で広がり 小ロットに利便性

2017/09/13 04:25 更新


 インドのテキスタイルが日本でじわじわと存在感を高めている。希少な素材背景と手仕事を生かした多様な物作り、最小ロット100メートルという利便性が新進アパレルを中心に支持され、採用が広がっている。

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 インド繊維省傘下のインド手織り生地輸出振興局はこのほど、スヴァルナ・テキスタイルズとイースタンシルク・インダストリーズによる展示内見会を都内で初めて開き、旺盛な引き合いに手応えを得た。

 スヴァルナ・テキスタイルズは、インドに集積する家内工業を取りまとめ、手紡ぎ・手織りの生地、ストールを手掛ける。特に力を入れているのが、カーディーコットン。「インドでできる最もすばらしい細番手の手紡ぎ糸」で、綿番で300番手まで揃える。熟練工が手織り機で時間をかけて織り上げ、風合いは柔らかく滑らか。インド政府繊維省が管理し、インド東部の限られた村でのみ生産される。さらに希少性が高いのが、ムガシルク。インドのアッサム州にしか生息しない野蚕の一種、ムガ蚕からとれる黄金色の最高級シルクだ。品の良い光沢と野蚕ならではの節が独特の表情を生み出し、軽く強いのも特徴。近年は害虫や農業用の殺虫剤の影響を受け、年間生産量は30トンと極めて少ない。

 イースタンシルク・インダストリーズは、手織り機から最新鋭の織機まで揃え、シルクを軸に無地、ジャカード、刺繍レースと多彩なテキスタイルを生産している。大手でありながら、1色100メートルから受注し、日本への輸出実績も豊富だ。

 インドの繊維産業は、GDP(国内総生産)の2%、輸出額の13%を占める。展示内見会の会場提供などで協力する日本繊維輸入組合によると、輸出先は欧州、米国向けがそれぞれ3分の1で、「日本は1%にとどまっているが、着実に伸びている」という。インド政府は、手織り生地やストールの輸出拡大を推進しており、今後も日本での展示内見会の開催を検討するという。

ムガ蚕が紡ぐ黄金の繭から作られるムガシルク



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