ムーンバットは、コロナ禍で厳しかった傘や帽子などの服飾雑貨が、行動制限の撤廃などで好調に動いている。直営店事業やEC販売、利益改善などの構造改革による成長戦略が進んでおり、前期(23年3月期)は4期ぶりの黒字化で、上期(23年4~9月)も増収増益を見込む。組織の確立や新たな戦略事業部を中心としたオリジナル開発、販路の拡大なども成果が見えてきた。6月に社長に就任した鎌田尚氏のもとで、さらに企業基盤の確立を目指す。
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春夏は好調も課題の秋冬商戦へ
――社長就任への思いは。
ムーンバット一筋で、色々な部署や商品に携わってきました。営業で10年ほど百貨店の卸営業を担当し、その後は商品関連を担当しました。数年前からは経営の実務も行ってきましたので、社長就任時の違和感はないですね。違いは外部とのあいさつ回りや会合などが加わったことです。
百貨店をメインにしてきた婦人雑貨業界はコロナ禍のあるなしに関係なく、多くの企業が厳しくなっていました。百貨店への依存率が高く、百貨店の閉鎖や平場の縮小も進む過渡期の中で、当社も構造改革が遅れたと感じています。20年近く、百貨店メインに商品を揃え、作ってきましたが、時代の変化で百貨店の周りには多くの商業施設や駅ビルができ、郊外にもSCやアウトレットが台頭しています。セレクトショップも含め、消費者は購買の選択肢が広がり、分散化してきました。
コロナに関係なく時流に対応するため、16年ごろに商品軸ではなくマーケット軸に変えました。百貨店事業の百貨店事業部、チェーンストア事業のチェーストア事業部とし、商品と営業を一つのチームとして製販一体化で攻めるためです。さらに、これまで不得意だった大型雑貨や専門店市場を攻める戦略事業部を立ち上げ、EC事業も一緒に行っています。変化するそれぞれのマーケットを攻めるプロ集団を形成する組織にしました。
しかし、この時期に新型コロナ感染症が広まりましたが、逆に開き直れました。何をやっても駄目な環境だったので、コロナ禍が明けてしっかり成果がでるように組織や考えの整備に取り組みました。この間、希望退職や経費削減などの構造改革を行い、ようやく成果につながっている状況です。
――現在の環境や状況は。
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