気配りの教え方(藤永幸一)

2013/10/14 00:00 更新


気配りのできるスタッフを育てたい・・・とよく相談を受けます。

本屋に行けば、「おもてなし」や、「気配り」の本は、たくさんあります。どれも、事例が満載で、こういう時にはこう動くといいと、具体的、かつ丁寧に解説されています。「気配りができる人になりたい!」と思って読めば、相当に参考になると思います。

でも、相談を受けるのは、「それほど積極的には『気配り』に関心のないスタッフ」の指導方法だろうなあと思うのです。 

わたしは、アプローチとして「気配り」を3つのSTEPに分けて考えることを勧めています。

ひとつめは、「目配り」。まずは、自分の「目」に映るものを、きちんと観ようということです。漠然と「視界」に入っていることと、「きちんと観る」ことは違います。「落ちているゴミが見えるようになる」ことです。

今は、電車の中でも、歩きながらでも、携帯・スマホに夢中の若者を多く見かけます。小さいころから、ゲームで育ち、パターン化された視覚情報に慣れ親しんだ彼らは、「観る」力が弱っています。視野が狭いのです。この「視力」をときほぐすことからです。

次に、「気配り」。これは、自分と相手との距離を詰めることです。挨拶も、自分から一歩、相手に歩み寄る。これだけで印象が変わります。「差し出す」という言葉にも、このような気遣いがあります。自分の手元に置いたものを、相手の元にすーっと出す。ここに、「間」が生まれます。自分から行動することを促すわけです。

そして、最後が「心配り」です。相手に対しての想い、今感じていることを言葉にして伝えるということです。気配りというのは、「気持ち」を配るということですから、「自分の心=気持ち」が動いていなければ、表現のしようがないということになります。だから、「感じる」ことが鍵になります。

 では、どのように「感じる」ことに関心をもってもらうか?

研修では、「花」を見て、心に浮かぶ言葉を発してみるということからはじめて、ストーリーをつくってみることをやっています。

また、「気」のついている熟語、言葉を書き出してみるということもやります。「気」は、「気持ち」「気分」につながりますから、この言葉をたくさん知っているということは、自分の心のあり様を伝えることが上手になると教えます。

言葉をたくさん知っているということが大切です。今の、自分の気持ちや感情を言葉で適確に表現できれば、自分の気分もすっきりするし、相手とのリレーションもスムーズになります。でも、言葉(語彙)が少なければ、表現しきれないもどかしさにストレスが残ります。そうすると、コミュニケーションをとることが面倒に思えてきます。

言葉=会話でコミュニケーションをとるというのは、実は、大変に労力のいることなのです。いつも、相手への想い、やさしさを持っていなければ、心地よい「間」は生まれないのですから。

でも、気付くと、自分を分かってほしいという一方的なスタンスになっていることがほとんどです。「お互いに、伝えあえる」が基本ですよね。言葉をたくさん知っているということは、表現に遣うファイルをたくさんもっているということです。12色のクレヨンよりも、36色のクレヨンの方が繊細な絵が描けそうでしょう。このように、言葉を学ぶことの大切さに関心をもってもらいます。

受講スタッフに女性が多い場合は、本来、女性の感性がいかに優れているか・・・という話をします。視覚、聴覚、嗅覚・・・女性の脳は、ちいさな変化を感じ取るという話です。

最後に、相手への関心を自覚するために、「タイプ別のリレーションスキル」を提供します。相手のタイプを感じながら、相手に寄り添うというスキルです。相手の「感じ方」を活用して、相手の心を開いていくのですが、本当の目的は、「相手に関心を持つ」トレーニングです

そして、仕上げとして、実際のコミュニケーションの会話の力を磨くための、「相槌の打ち方」を3つのステップでトレーニングします。

ざっとこのようなシナリオで、研修を組み立てています。まだまだ、掘下げることができそうだなと感じています。実際の研修でも、参加スタッフ1人ひとりの向かい合う時間がもっと欲しいところです!



20年のアパレル体験で痛感したこと=仕事の悩みは、本当のところ、「人間関係」。2000年に、「レックス」を設立。「仕事を楽しむスキル」を学んで、「元気な現場」をつくるサポートをスタート。自分が「楽しい!」と感じれば、相手にも好感度が伝わる!大手アパレルとの長いお付き合いで、スキルは常にバージョンアップ中!



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