4月25日以降の緊急事態宣言・まん延防止等重点措置に伴う休業・営業時間短縮要請に応じた大型商業施設と出店者に対する国の協力金(大規模施設等協力金)が、百貨店と消化仕入れ・委託販売契約する店舗(特定百貨店店舗)にも要件を満たせば、支給される見通しとなった。対応が不明確だった大阪府が7月29日に百貨店に支給を事実上要請し、その後、百貨店の多くが一部の取引先に対して応じる意向を示した。「協力金をもらえない」ことを懸念していた取引先の多くはこの動きを歓迎し、安堵(あんど)する。しかし、取引条件などによって、支給対象外となるケースも多く、不公平感を持つ企業もある。国のあいまいな制度設計や自治体の対応の遅さなどに対する業界の不満は収まらない。
(有井学)
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運用異なり混乱も
同協力金は国が都道府県に支給する地方創生臨時交付金の「協力要請推進枠」から支出され、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置対象の都道府県から要件を満たした事業者に支給される。制度設計の大枠は国が決めたが、細かい運用は自治体に委ねられるため、地域によって一部運用で対応が異なり、混乱を生んでいる。行政から百貨店に支給される特定百貨店店舗に対する協力金の扱いについても、対応が分かれた。国が6月4日付の都道府県への事務連絡文書で「特定百貨店店舗に最終的に支払われることを想定」と通達し、東京都などが申請募集要項などでこの点を記載した一方、大阪府は明確にしなかった。そのため、百貨店は対応に苦慮。大阪の一部百貨店で「協力金は支払わない」意思を取引先に示す動きが相次ぎ、取引先から不満が噴出した。
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