《めてみみ》文化の奥深さ

2020/05/27 06:24 更新


 週末に中国の伝統文化に相次いで触れる機会があった。5500年前の遺跡が見つかったことで有名な上海市馬橋地区は、AI創新試験区の建設が進んでいる。その視察からの帰り、発掘された道具類を展示する博物館で同地区に伝わる獅子舞を見た。中国の獅子舞というと屈強な男数人が大きな獅子を持って音楽と共にうねるようにして舞うのを思い浮かべるが、馬橋の獅子舞は少し趣が違った。

 この地域は家屋が小さく天井も低かったため使っている獅子は日本とほぼ同じ大きさ。1人が1頭の獅子を操り音楽に合わせて2頭の獅子が舞った。博物館の担当者によれば無形文化財に指定されているという。

 上海高島屋でモンゴルの伝統的な楽器の馬頭琴の演奏を聞いた。2弦でチェロを一回り小さくしたような楽器。ネックの一番上には馬の頭が彫刻してある。使っている弓の形はバイオリンの弓と似ていた。共鳴箱は台形で、開いている穴はバイオリンに開いている穴と同じような形をしていた。

 知見が無いので、いつからこのような形になったのか分からないが、素朴で温かみのある良い音がした。ホーミー(呼麦)という伝統的な歌唱法も見た。一度に二つ以上の音が聞こえるという不思議な歌唱法だった。歴史が長く国土も広い中国には多様な文化が共存することを改めて知る週末だった。



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