25年の訪日外客数は4268万人と過去最多を更新したが、中国からの12月の訪日客は前年同月比4割以上減少した。
かつてなら市場全体を揺るがす数字だが、今回は総数が増加し、多くの国で12月として過去最高を記録した。韓国、台湾、東南アジア、豪州、米国、欧州など、旅行動機も休暇時期も異なる各国がそれぞれ伸び、中国の急減を静かに吸収したためだ。
中国市場は今も大きいが、外部要因で急変しやすい面を持つ。対して複数市場が並び立つ状況は、需要が一点に集中しないため、環境変化に対して揺らぎにくい。「分散」は数字以上に市場の体質を強くする。
ファッション産業にとっても、多様な国・地域の来訪者がもたらす価値観の幅は、商品構成の柔軟性や在庫精度を高める要因となる。国ごとの違いを受け入れ、提案の幅を広げることで、外部環境の変動に依存しない力が育まれる。
訪日客数の記録更新は、単なる増加ではなく構造の転換を示しているのかもしれない。支点を一つに置かない発想こそ、これからの強さとなる。
(樹)
