日本発ファクトリーブランドの人気がじわじわと高まってきた。ある東北のニッターは自社ブランド比率が売上高の9割を超え、下請け型の事業から脱却し自立に成功している。立ち上げた当初は社内でも反対されたというが、10年で全国の有力個店に卸先を広げ、メンズ業界には欠かせないニットブランドの一つに成長した。
コロナ下の厳しい環境でも自社ブランドで新販路開拓に乗り出した紳士スーツの縫製工場もある。テレワークの浸透でスーツ離れが加速し、既存取引先からの発注量が減少したことが背景だ。自社ブランドでは国内生産の強みを生かし、パターンオーダースーツで新たなカスタマイズ需要を狙う。
ここ数年は作り手自身がブランドを立ち上げ、一般消費者とつながり、ファン作りに挑む工場が急増した。これは自社ECはもちろん、クラウドファンディングなど工場の弱点だった販路開拓を補完・サポートしてくれるデジタルのサービスが充実してきたからだろう
日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)は、純国産表示制度「Jクオリティー認証事業」の企業認証を取得している11社と連携したファクトリーブランドで世界を目指す。3月に上海で展示会を開く。これからはもっと自社の物作りの強みを武器に世界で勝負する工場が増えてほしい。