《めてみみ》自分たちのアレ

2022/12/21 06:24 更新


 このところ、関西系スポーツ紙の紙面をにぎわしているのが、阪神タイガース岡田監督のコメント。「そらそうよ」とか、「うーん」が「おーん」に聞こえる独特の言い回しが面白おかしく伝えられている。中でも有名になった言葉が「アレ」である。

 アレとは「優勝」を指す。オリックスの監督時代、選手が過剰に意識し過ぎないよう、優勝の二文字を使わず、あえて「アレを目指す」と言ったのが始まりと聞く。少し好調だと、今年こそは優勝だと騒ぎがちな阪神ファンやマスコミ。オリックス時代以上に、選手へのプレッシャー軽減を狙ったものだろう。

 プロ野球なら目標は優勝と明確だが、企業経営の場合はなかなか難しい。短期的な高収益、中長期な企業の発展、数字に表れにくい企業への信頼感や従業員の働きがいなど優先順位は様々にある。「売上高は伸ばせ、でも不採算の商売は絶対駄目という指示。そんな虫のいいビジネスが今時どこにあります?」と、時に現場に戸惑いを生む号令もある。

 経営方針の前提となる環境が読めない時代。苦労して中長期の経営計画を策定しても、絵に描いた餅となるケースも増えてきた。こんな時だからこそ、自分たちの目指すアレは何なのか、従業員全員が納得し、共有できるメッセージをトップが発信し続けることが大切なのだろう。



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