最近二つの〝撤退〟ニュースが中国経済紙で話題となった。一つは上海・徐家匯にある太平洋百貨の閉店。賃借契約を更新せず年末で営業を終了し、中国大陸での店舗はゼロになるという。台湾の百貨店で、過去にはファッション百貨店としてお手本の存在だったと当時を回想する記事も出ている。
もう一つは、米EC大手のアマゾン。先週5月23日、顧客に7月中旬に中国のアプリサービス停止を告知したため、経済紙がこぞって「中国撤退」と勘ぐって報じた。しかし翌日、アマゾンはデマと否定し、サービスを継続するとした。
百貨店では今年1月、上海・南京路歩行者通路にあった置地広場商厦が撤退。今やどこでも買えるありふれたMDでは、都心一等地だろうと生存は厳しい。一方で、この約20年、ネット空間での膨大な品揃え、サービスや利便性、運営改善の速度でリアル店より有利な状況だったECも、コンテンツ特化型サービスの登場などで競合が激しく過渡期を迎えている。
アマゾンについては、中国での役割や存在感は薄れている模様だ。ある上海人は「数年前は手に入れにくい輸入品があったし、日本などに行った際に購入もできたが、今それほどのメリットはない」と話す。ネットもリアルも再度、顧客に選ばれる利便性とサービス追求が重要になってきた。