《めてみみ》販路の〝差〟

2023/06/09 06:24 更新


 百貨店とファッションビル・駅ビル(Fビル)、SCは、それぞれ客層も違えば、許容される価格帯も異なるとされる。例えば、百貨店の主力客層は年収の高い40代以上、Fビルは比較的に可処分所得が高い消費意欲が旺盛な20代、SCは生活に追われる子育て世代が中心。そんなイメージを持つ人は多いのではないか。

 実際、メーカーや専門店の多くは、これらの販路別に店やブランドを開発し、すみ分けて出店してきた。もっとも、個別にみればイメージと異なる事例も目につく。広域型SCが幅広い年代を集客する地域一番店である地方都市は多いし、ラグジュアリーブランドが入る都心のFビルも増えている。

 飲食店が提供する価格帯もずいぶん変わった。ファストフードや低価格店が中心だった広域型SCのフードコートは、今は単価1000円以上の飲食店の方が目立つ。百貨店と都心Fビルの飲食フロアの中心価格帯も今はほとんど変わらない。

 客層や価格帯ともに販路での〝差〟は薄れている。その象徴とも思えるのが「無印良品」や百均などの価格均一店、「ユニクロ」「ジーユー」など。いずれも全ての販路に出店している。確立された価値があるからこそだが、商品構成や価格帯はどの販路でも同じだ。人口減少が進む。一般的には販路差がさらに薄れていく方向だろう。



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