岸田文雄首相が国会閉会後の記者会見で、自民党の「派閥」を「政策集団」と終始表現していたのが気になった。自身の派閥(現在は離脱)の「宏池会」が池田勇人元首相の流れをくむ自民党最古の「政策集団」であるという自負からなのか、「派閥」という言葉のイメージが悪いからなのか真意はわからない。ただ、違和感を覚えた人たちは多いだろう。
実態を伴わない言葉に説得力はない。もちろん、自民党の派閥は元々は政策が一致した政治家の集団ではあるが、政治資金パーティーをめぐる一連の問題を見ると、本来の「政策集団」のあり方とはかけ離れている。むしろ、「資金集め集団」と言うべきだろう。
政治資金パーティー問題で、繊維・ファッション業界を所管する経済産業省の西村康稔大臣も辞任した。政策課題が山積する中で、本来の政策立案・実行業務とは全く異なる理由での大臣交代は国民にとって不幸なことだ。不祥事や失言での大臣辞任が「普通」に見えてしまっていることも悲しい。
政府は12月22日に来年度予算案と税制改正案を閣議決定し、来年1月から始まる通常国会での成立を目指す。既に成立した今年度補正予算と同様、中堅・中小企業の投資支援策など繊維・ファッション業界も活用できる施策も盛り込まれる見通しだ。国会では「本来の業務」である政策をしっかり議論してほしい。