《めてみみ》少子化の解決にも

2023/12/26 06:24 更新


 23年はめっきりセールが少なくなった年だった。コロナ下に大量の在庫を値引き販売せざるを得なかったことの反省からだろう。仕入れ計画を見直し、セール期間を短縮して値引き率も抑制し、プロパー価格で売り切る手法に切り替えるファッション小売りが増えた。

 企業努力に加え、外出機会が増えたことも追い風となって、各社の売り上げが増え、粗利益率はおおむね高まり収益は改善した。売れているのは新品の服だけではない。「リサイクル通信」によると、21年の衣料品の二次流通の規模は4587億円で前年比14.4%増だった。

 流通量の大きいのは、一部のマニアに向けた高額なビンテージ商品などではなく、フリマアプリやリユースショップ経由で販売される直近シーズンの服の方だ。利用客の分布を見ると、10~20代が最も多い。

 つまり、服にお金をかける余裕がない若年層を中心に、新品を売る店から、安く買える二次流通に流れていることになる。円安などでさらに値上げが進めば、この傾向はもっと強まるだろう。

 この状況が続くと、新品の服を買う人は減っていく。若い世代の給料を上げることを、国や企業はもっと真剣に考えるべきだろう。服を買うことばかりでなく、結婚や出産すらぜいたくと感じてしまう人が少なくなることは、少子化問題の解決にもつながると思うのだが。



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