GSIクレオスは昨年、ムンバイに現地法人を設立しインド市場に本格参入した。社長に抜擢(ばってき)したのが長年ケミカル商材の販売パートナーだったインド人。吉永直明社長は「リスクが高いとの指摘もあったが信頼しており、任せることにした」と話す。
ブラジル法人もブラジル人女性が社長だ。人工透析機器の販売が伸び、今では透析クリニックも運営する。「現地の人を社長にすることでその地域独自の事業が育ってきた。情報、人脈の広さが全く違う」とも。一方で人材登用のリスクを最小化するノウハウも「磨いてきた」。
帝人フロンティアの平田恭成社長は、現法のトップについて「今のところは日本人が良いと思っている」。なぜなら現地のことだけでなく、日本を含めた世界の拠点との連携が不可欠で、そのためには全社戦略を理解した広い視野での行動、判断が前提となるためだ。
現法トップのあり方は企業や進出地域、抱える人材などで異なり、答えは一つではない。国内も同様だろう。グループ会社のトップにプロパー社員を登用するか、本社から人を送るかに相通じるテーマだ。いずれにせよ、どうガバナンス(企業統治)を利かせて最適な事業運営ができるかに尽きるが、そのための人材登用の考え方は企業や経営者によって異なるところ。そこに着目して企業の今後を見てみても面白い。