天候に恵まれた連休。街は観光客や買い物客でにぎわっていた。そんな中でよく見かけたのが、結婚式もしくは二次会と思われる若い女性グループ。カジュアルな装いが多い中で、彼女らのドレス姿は目立った。
「オケージョン需要でドレスやワンピースの動きが良い」。9月商戦についての複数のファッションビルのコメントだ。猛暑日が続き、秋物ファッションの動きは鈍かった。ただ、オケージョン服は気温に関係なく売れていた。
ある結婚情報誌によると、結婚式が多いのは10月、11月、5月の順。9月は4位だったから、これからがドレス需要の本番かもしれない。冠婚葬祭は通年あり、そのための服となると一定の需要がある。
考えてみると、私たちは日常から用途に応じた服装に囲まれている。割烹(かっぽう)着、体操服、部屋着、仕事着、水着など「服」や「着」のつく言葉は多い。汎用性が求められるようになったとはいえ、知らず知らずのうちに用途やTPO(時・場所・場合)に応じた服装を選んでいる。
「コロナ禍でビジネスとカジュアルの垣根が無くなってきた」とは紳士服業界でよく聞かれたが、きちんと仕立てたスーツを着ると仕事モードに切り替わるような気がするのもまた事実だ。ドレスを装い談笑する彼女たち――TPOに応じた服を着る楽しみも、服の魅力の一つに違いない。