《めてみみ》『トンマッコルへようこそ』

2025/10/29 06:24 更新NEW!


 一昔前の韓国映画に『トンマッコルへようこそ』という作品があった。舞台は1950年の朝鮮戦争。「子供のように純粋な村」という意味のトンマッコル村に、アメリカ軍と韓国軍、人民軍(北朝鮮軍)の兵士たちがやって来る。ただ、当の村人たちは戦争が起こっていることも知らず平和に暮らしている。

 兵士たちは互いに疑心を抱きながらも、村人たちと共に暮らすことによって少しずつ溝を埋めていく。しかし、戦争の現実はそれを許さない。村に人民軍のミサイル部隊がいると見たアメリカ軍は、村への大規模爆撃を計画する。これを知った兵士たちはそれぞれの立場を超え、村を救うためにある計画を立てる。そして結末は、というあらすじだ。

 トランプ大統領の訪日・訪韓が話題を集め、先の映画を思い出した。朝鮮戦争から四半世紀。民間交流が深まり、日本にとって韓国との距離感は大きく変わった。今やエンタメやファッションにおいて韓国の存在感は欠かせなくなっている。

 南北間でも和解の機運が何度か訪れた。にもかかわらず、朝鮮半島を巡る軍事的な緊張感は今も続いている。世界の状況に目を向ければ、とても映画のようにはいかない。それでもなお民間の現場で、相互理解を深めようと努力する市井の人たちはいる。国境を越えた交流がビジネスの新たな可能性をも生む。



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