大阪府岸和田市で行われてきた南大阪コレクションが16年の歴史を終えた。「ファッションショーって楽しいよね」といった身内話からカフェでの開催に始まり、近年は市が後援するほどまでになり地元イベントとして親しまれてきた。
手作りのファッションショーには、既製品では味わえない情熱と創造性が息づいている。参加者一人ひとりの個性が布地に染み込み、ステージ上で輝きを放つ様は、まるで人生そのものをまとっているかのようである。既成の美の枠を超え、年齢・性別・体形を超えた多様な表現が、観客の心に深い感動を呼び起こす。
裏方の努力もショーの魅力を支える重要な要素だった。フィナーレで、素人モデルのウォーキング指導をしていた方の映像が流れた際には涙を流す関係者もいた。彼女は病で亡くなる直前までショーの成功のために指導していた。
イベントの「ファッションで世界を笑顔にする」という理念は多くの人の心に広がり、静かに役目を終えた。南大阪コレクションは、単なるファッションイベントではなく、人と人とがつながる場でもあった。
(樹)