三越伊勢丹、ECの新事業を本格化 オンライン完結型新サイト続々

2019/11/01 06:29 更新


 三越伊勢丹はECの新規事業を本格化する。18年7月の食料品定期宅配を皮切りに、化粧品、婦人服SPA(製造小売業)、パーソナルスタイリング、今秋からギフト、紳士服パターンオーダー(PO)のオンラインサイトを相次いで立ち上げた。成長戦略の柱となる店頭とECをシームレス化するデジタル事業の一環で、百貨店の販売データ、接客ノウハウを生かしたサービスで顧客接点を広げる。

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 10月にスタートしたギフトの「ムードマーク・バイ・イセタン」はSNSを活用した機能で、住所を知らない相手にもギフトが贈れる。贈り主は同サイトで商品を選んで決済後に発行される受け取り専用URLをLINEやメールでシェアするだけで完了する。届け先住所と配送日時は相手が入力するので、住所を知らなくても贈ることができる仕組みだ。

 「自分と世代や性別が異なる相手へのギフト選びは悩む」といった要望に答えるため、伊勢丹の店頭での販売データや接客技術を反映させたコンシェルジュ機能を設けた。贈る相手、好きなカテゴリー、テイストの三つの質問を答えるだけでお薦めのギフトをチェックできる。さらに専用フォームに入力、送信すれば、伊勢丹のバイヤーや販売員が個別にメールで相談に応じる。AI(人工知能)やカスタマーサポート担当とは異なる百貨店独自の人的サービスを加えた。500~20万円の食・美・住などのカテゴリーで1500アイテムを掲載する。

シーズンギフトや誕生日、結婚祝いなどシーンや用途から探すことができる「ムードマーク・バイ・イセタン」

 ギフトと同様に10月からスタートした紳士服POの「ハイ・テーラー」はともに20~30代のミレニアル世代を対象としたオンライン完結型だ。スタート間もないが、ギフトは会員の7割が20~30代で、一人当たりの客単価は5000~5500円で、想定通りの滑り出しという。これまで百貨店に来店していなかった新規顧客の獲得につなげる。

 2月に開設した化粧品専用サイトの「ミーコ」は15日から、バラエティーコスメのサイトを立ち上げる。従来のラグジュアリーコスメ230ブランドに加えて、百貨店で扱っていないプチプライスの80ブランドを同時に購入できるようにする。百貨店の既存顧客が8割だったが、新サイト導入で20~30代の新規顧客の獲得に結び付ける。

 新たにNTTドコモとソニーネットワークコミュニケーションズの肌チェックアプリと連携したサービスを導入し、セルフ型購入のニーズにも対応する。会員数と一人当たり購買単価は「当初目標を上回っている」(三越伊勢丹デジタル事業部)という。

百貨店で扱っていないバラエティーコスメを加える「ミーコバラエティー」
チェックアプリと連携してセルフ型購入を促す


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