地方百貨店の閉鎖に歯止めがかからない。人口減少や高齢化など置かれている環境も地方都市ほど厳しい。17年の東館の米子市への無償譲渡に始まり、地元資本100%への転換など百貨店の再生を目指し、大胆な施策を相次いで実施してきた米子高島屋。一方では、商店街活性化や地元産品の外販などにも取り組んできた。「地方活性化=百貨店活性化」の考えのもと、官民一体での〝コンパクトシティ〟構想の実現を目指している。これらに対する思いや狙い、これからの取り組みなどについて聞いた。
〝コンパクトシティ〟構想の実現目指す
――17年に東館などの米子市への無償譲渡を発表した。
赴任した年(16年)は、1月に隣接地にあった「米子やよいデパート」の突然の閉店があり、2月にはラグジュアリーブランドの退店がありました。そこからのスタートです。赤字が続いていましたが、利益を出る体質を追求し、2年目(18年2月期)は黒字(営業利益3200万円)になりました。とはいえ、本館と東館があって、売り場面積(17年2月期で1万6703平方メートル)が大きすぎる。コロナ禍前でしたが、空き床が出れば埋める、その繰り返しが続いていました。逆選別されているなか、高島屋のグループ力でなんとか維持できていた感じです。身の丈にあった面積に、本館だけで勝負できる体制にとの思いはありました。
そのこと以前に、地域活性化は百貨店だけでは無理で、半径1キロ以内に生活に必要なモノや機能が全て揃うコンパクトシティ構想を、官民一体で実現していくことが欠かせないと考えていました。東館を百貨店とは別の機能を持つ館にする。いきさつはいろいろありましたが、結果として、東館(地下1階~地上7階、延べ床面積9448平方メートル)と立体駐車場ビル(地上1~6階、6823平方メートル)の無償譲渡を米子市が受けてくれました。東館にあったブランドの本館への移設を進め、本館だけの運営となり、売上高は減少しましたが営業利益は確保できました。コロナ禍がなければ黒字が続くと思っていましたが、20年2月期は少し赤字になり、そこからは赤字ですが、24年2月期は黒字を目指しています。
――東館は滞在型観光施設とする「グッドブレスガーデン」となり、19年11月に開業した。
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