MDが使う「算数」をショップ運営に役立てよう!《第3講》⑱(佐藤正臣)

2023/06/28 06:00 更新


(第2項)目標設定・管理の重要性

5.売上の公式とは?③

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前回の講義は、買上客数を上げるための手段として、ショップの入店数を上げることを、皆で考えました。前回の講義の最後に、Tさんから以下の質問がありました。

「入店数を上げるにはどのようなことを目標に掲げたら良いのか、よく理解できました。現在私が勤めるショップは、ファッションビルのテナントとして出店しています。ですが最近、近くに新しい商業施設ができて、ファッションビル自体の入店が大きく下がっている状況です。私なりに、本日学んだことは実践しているのですが、私のショップも入店数が減少しています。このような場合、どのように考えれば良いのですか?」



はい。入店数を上げようと頑張っても、お客様が近くに出来たファッションビルに流れていく状況で、私たちが入居しているファッションビルの入店は、減少しています。



Tさんのショップの入店数減少の要因は、前回の講義でもお伝えしましたが、外的要因でショップの入店数が減少している状況です。



外的要因とはどう意味があるのですか?



外的要因を簡単に説明すると、「周囲の状況や他者からの影響などショップ以外に求めること。ショップではどうしようもならないこと」となります。

外的要因の具体例には以下のようなものが挙げられます。

  • 景気
  • 災害(昨今で言えばコロナ禍)
  • 気候の変化
  • 環境の変化→近くに新しいファッションビルが出来たなど

Tさんのショップの場合は、周囲の環境変化が大きかったということになるでしょう。



この外的要因を打ち破る方法はあるのですか?



探せばあるのかもしれませんが、基本的にはないと考えた方が良いですし、今回のケースで言えば、Tさんのショップが入居しているファッションビルのテナント全てに影響があり、どうしようもならないことですね。


_| ̄|○_| ̄|○



二人ともそんなにがっくりしないで(笑)

このような外的要因で入店数のアップが見込めない場合、ショップは内的要因を目標設定・測定することで、入店数のアップに努められると良いでしょう。

内的要因の意味は、外的要因の反対で「行動の結果や要因を、ショップそのものに求めること」となります。ショップ自身の業務に改善点を見出し、入店数などがアップする目標を立案し、実践していこくことですかね。



なるほどです。ですが、せんせ。内的要因を抽出し、今回のケースで言えば、入店数アップの目標設定を行うことは理解出来たのですが、ショップで内的要因の良し悪しを正しく測定する方法はあるのでしょうか?



流石Dさん、良い質問です。以前の講義で、Dさんが以下のようにお話していました。

「入店数を測定できるツールは私が部長になったときに、会社に交渉して導入して頂きました!」

内的要因に基づいた目標を測定するには、このショップの入店数を測定出来るツールを活用しましょう!



ですがせんせ、測定ツールを活用しても内的要因の良し悪しを測定出来るように思えないのですが…?



では、Tさんに質問です。Tさんのショップが入居しているファッションビルは、毎月入店数の情報をショップに公開していますか?



はい、公開しています!



ということは、Tさんのショップの入店数÷ファッションビルの入店数=Tさんのショップの入店率となり、(入店数に関する)Tさんのショップの内的要因を測定することが可能となります。

例えば、前年同月よりもファッションビルの入店数とTさんのショップの入店数が下がっていても、Tさんのショップの入店率がアップしていれば、内的要因でみれば、むしろショップの努力で入店数の減少を食い止めている!と、評価することが出来ますね。



はい。確かにその通りですね!



今回の話をまとめます。

ショップは入店率を目標数値として設定し、その数字を追うことで、外的要因を除いたショップの評価をすることが出来ます。特に、本部やSVの方は、ショップを目先の数字だけで評価するのではなく、外的要因と内的要因をきちんと切り分けて評価することが必須となります。

外的要因と内的要因を、切り分けて目標設定・管理(測定)を行うことで、ショップの正当な評価を実現することが可能です。さらに言えば、ショップスタッフのやる気を削ぐことを防ぐことに繋がり、SVと店長(ショップマネージャー)との密なコミュニケーションが可能となります。



部長として目先の数字、特に売上だけでショップのことを評価しないように、内的要因と外的要因を切り分けて測定することを心掛け、客観的かつ正しい評価を組織として出来るように、今後は心がけます!



ありがとうございます!

ということで、今回の講義は終了です。次回は、買上客数を上げるために、買上率(購買率)について、皆で考えていきましょう。


了解しました!

では、皆さん。次回もお楽しみに(@^^)/~~~

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佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp



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