MDが使う「算数」をショップ運営に役立てよう!《第3講》㉘(佐藤正臣)

2023/11/15 06:00 更新


(第2項)目標設定・管理の重要性

6.PDCAサイクルの活用③

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前回の講義では、PDCAを回す際に意識することとして、PLANのP(計画・目標)についてお話しました。今回の講義では、DOのD(実践)は飛ばしまして、CHECKのC(測定・検証する)について考えてみます。

では、Dさん、Tさんよろしくお願いいたします。



よろしくお願いいたしますm(__)m



これは私の個人的な意見なのですが、PDCAサイクルがうまくいかない組織は、このC(測定・検証する)の精度が低いのでは?と考えています。



せんせ、その理由を教えてください!



では、私の専門であるMDに関して、あまり意味のない検証の例を挙げてみます。

  1. 売れた商品のどこが顧客に支持されていたのか具体的に検証せずに、来期も全く同じ商品を展開する。
  2. 売れなかった商品は「もうあんな商品二度と仕入しません!」などという、安易な反省に終始する。
  3. 目に見える数字の結果だけで、商品の良し悪しを判断する。“IF”の検証を入れていない!

このような検証を、Tさんどう思われますか?



突然質問されましても困ります……。



では、私がお答えします!

1の検証は、私が販売員時代によく感じていたことです。確かに昨年売れはしたけど、現場の印象としては、この商品に対してのお客様からの“飽き”を感じていました。しかし、当年になると当然のように同じ商品が入ってくる、そして売れ方が芳しくない。本部は一体、どんな検証をしているのだろう!と憤りを感じることが良くありました。

また2の検証は、誰がみてもわかることなので、そんな検証をしても全く意味がないです。先の未来に繋がることがありません。



Dさん流石です。3の検証に関してはどのように思われますか?



私は検証する際、数字の結果を追うことは重要だと思うのですが……。“IF検証”とは何のことでしょうか?



良いところに気づきましたね!“IF検証”は、次回の講義で時間をかけて行おうと思っているのですが、検証する際に、「もしも○○が●●●だったら、結果はどうなっていた?」というような仮説を立てることと考えて頂いたらよいでしょう。

ということで、C(CHECK)の精度を上げるために、皆様方に意識してほしいことは2つあります。

A. 出来るだけ具体的に深く。出来れば数字を活用する。

B. “IF検証”を行う

先ずはAの「出来るだけ具体的に深く。出来れば数字を活用する。」を、今回も私の専門であるMDの検証を例にお伝えいたします。



よろしくお願いいたしますm(__)m



では、架空の商品Aで検証を考えてみます。

  • 商品Aの販売期間は1か月。発注数量は50点
  • 商品Aはショップ展開後10日で完売した。

こんな例があったとします。Tさんならば、どのような検証を行いますか?



私でしたら、10日間で商品が完売してすごいな!良かったな!と考えるのですが、この商品Aは販売期間1か月と記載がありますので、「もっと商品Aの数量が多ければ良かったのにT_T」と思います。



Tさんその通りです。素晴らしいです。

因みに、MDにとって商品の販売期間の設定はとても重要です。また、ショップマネージャー(店長)にとってもVMDの戦略を考える上で、重要な要素となりますので、遠慮なくMDに質問をしましょう!



はい。承知いたしました!



ということで、話を戻します。

先述していただいたTさんの検証は確かに間違ってはいないのですが、「出来るだけ具体的に深く。出来れば数字を活用する。」を意識すると、具体的に「どのくらいの(商品Aの)数量を売り逃したのか?」という検証が必要となります。以下、商品Aの売り逃したと思われる数量を算出いたします。

10日(完売した期間)÷31日(商品Aの販売期間設定)=32.3%
→50点÷32.3%=155点(この商品を1か月販売した場合の売上予測数)
→155点-50点=105点(売り逃した商品の数量)

実店舗やECなどの現場目線で考えれば、ただ「在庫があれば売れた!」と本部に伝えても本部は何も動いてくれません。具体的に何点商品が足りなかったのかを伝えると、本部もショップの意見を聞かざるえないです。



お~なるほどです。


C(CHECK)の精度を上げるには、「出来るだけ具体的に深く。出来れば数字を活用する。」ということを意識されると良いでしょう。

今回の講義は、これにて終了です。次回は“IF検証”について考えます。



では、皆さん。次回もお楽しみに(@^^)/~~~

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佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp



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