Dさん。まずは前提条件の確認をしましょう。
へえ。
① 現在は9月30日。9月の各数字はほぼ確定の数字。
② 10月・11月の仕入金額は発注済み。
③ これから12月の商品発注を決めるところ。リードタイム2か月で次回商品上がり日は12月1日
④ 1月の仕入予算は春物の予算としてとってある(冬物で使えない)
⑤ 8月も売上予算比は82%だった。
そして私が10月以降の売上予測を入力し下記の図になりました。
はい。そうでしたね。あと前回言い忘れたのですが、今回Dさんは予算を目安の売上予測を出していますが、この予算は、トレンド・過去分析等をしっかり行い、精度が高い予算設計だということを念頭においてください。
予算設計は重要ですね。肝に銘じておきます(これ連載で伝わる内容ではないのよね~)。
では、Dさん。次は粗利率の先の見通しをどう読みます??
どう読みますと言われも?? ただ、なんとなく在庫が残りそうなので、当初の予算よりは低くし、セールをするぞ!というストーリーに変えなければならないのでしょうね??
まあそうでしょうね~(笑)。では粗利率の数字見込みを入れてみてくださいよ。
ん~(悩み中)~、いきなり言われてもなんだか?どうすれば良いのかわかりません。
では、実績・先の見通しの欄も、当初の予算設計通りの数字を入れてみてください。
へえ。(入力中)できました。
で、予算通り入力したらどうなりました??
在庫がやっぱり、予算よりも増えています。
具体的に言いますと??
仕入が確定している11月末時点での在庫が予算比の約144%になっています。やばい(+_+)ですよね??
ですね~。このOTB表の単位が千円だとしたら、約230万ほどの在庫原価が当初の予定より多く残っているということになります。仮にこの組織の商品1点あたりの在庫原価平均が3000円だとしたら...230万÷3000円で約767点もの商品が予定より多く残っているということです。1M20CMのシングルラックに商品が30本しかかけられないということになれば、767÷30で約26本分のシングルラック分の商品が余計にあるということです。その場合の現場(店頭・倉庫)は大変でしょうね。
そうでしょうね。私も何か似たような光景みたことがあります。
ではDさんこのケースでは、Dさんは今後何を実行しますか??
へえ。考えられること2つですかね??その2つのこととは...
① 12月分の仕入金額を減らすこと
② 予定より早め。または強めのセール施策を実行すること
こんなところでしょうか??
そうですね。私のこのケースならDさんと同じように考えますね。では、Dさん12月以降の売上・粗利率予測は今のままで、1月末の在庫金額が予算ベースにあうように12月の仕入金額を調整してみましょうか?(因みに1月の仕入金額は時期SS用の仕入金額枠なので変えられない)。
(入力中)
Dさんどうなりました??
へえ。12月の仕入金額を約200万にしたら、1月末の在庫金額はほぼ予算通りになりました。
確かに。Dさんこのことをどう思います??
まあこれは仕方のないことかなとも思いますけど…。
なるほど。ただDさん。先ほど言ってくれた②のこと。新たなセール施策がこのことでは表現されていませんね。
へえ。ただ、当初のセール施策で済みそうなので、このことで良いかな??と。過度な赤プラ(セール施策)で、お客様の信頼を損ねることもなさそうですし…。
ただ、これではDさん。MDの目的である、売上・粗利高を多く獲得することが難しいですよね??
たしかに。予算の8掛け(83.5%)くらいになります。
こういう状況を打開するには、何が一番効果的だと思います??
効果的??…売上を上げるには、新しい商品。売れる商品を仕入れることですが、在庫を考えると、12月の仕入枠は削減するしか方法はないのでは??
確かにその通りなんですが、であれば仕入枠を増やす方法を新たに考えなければなりませんね?? そもそもOTBの意味はOpen to Buyで仕入枠を空けるという意味にも捉えられますから、仕入枠を空けるには??
セールをして、お客様に買ってもらいやすい値段にし、商品数を減らす。その分の仕入枠が増やせる? ということですか??
その通りです。では次回。そのことを共に考えていきましょう。
では、皆さん。次回をお楽しみに(@^^)/~~~
95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。
www.msmd.jp