23年度入社の新入社員が、希望と少しの不安を胸に社会人の道を歩み始めて半年ほどが経った。ファッション業界で輝く先輩たちの背中を追いながら、日々、店頭や本部で汗を流している。入社から半年ほど経った今、新入社員に話を聞いた。
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9月から2店を任され奮闘中 社員の裁量の大きさが魅力
入社後のOJT(現場教育)を経て、9月から「キース」2店を任されているルックの営業本部第1事業部の堀江結衣さん。ファッションに興味があったが、就職活動は幅広い業界を調べた。その中で「一番心が躍ったのがファッション業界だった。前向きな性格で、精神的にも体力的にも自信があったが、この選択で本当に良かった」と感じている。
何事も前向きに
堀江さんは大学の体育学部卒で、真っ黒になりながら硬式テニス部でスポーツ漬けの毎日だった。そのため、アパレルのアルバイト経験もなく、「業界や仕事の流れを知りたい」と、総合職を希望し営業業務に配属された。かっこいい着こなしの先輩社員と働けることにワクワクしている。体育会出身らしさを褒められることもある。考え方や前向きな姿勢などで「スポーツでは辛い経験もしたが、それを乗り越えて成功も体験している」ため、日々の業務にも積極的に取り組んでいる。
ルックはこの春、総合職と販売職を募集した。総合職は全体での2週間の研修を終え、即本社勤務となる。入社の決め手の一つが、「社員の裁量が大きく、早い段階で仕事を任せてもらえる」こと。「自分だからこそできる仕事がしたい」と、自分がやりたい形がこの会社だとかなうと思った堀江さん。そして、「挑戦したい」と思い入社した。
本社配属後はOJTで、先輩の担当店舗で一緒に仕事を覚えていく。現在は伊勢丹浦和店と京急上大岡店を任された。業務はまず前日の店舗売り上げやメールのチェックから始まり、予算管理、店舗の在庫管理などを行う。倉庫に行き出荷作業をすることもある。店頭に行く日は普段は送っている書類を直接渡せるように準備し、午後3時ごろから午後6時ごろまで店舗で過ごす。また、ちょっとモチベーションが下がっているスタッフなどの話を聞く。
ショップが楽しい
施設との交渉やDMの作成なども行い、「店舗の運営や必要なことは全て準備する」。初めは慣れずに緊張もしたが、電話では伝わりにくい話や状況を現場で聞き、会議に上げて対策を店頭と共有している。「ショップに行くことが楽しい」と、全体の流れをつかんで自分なりに準備し、1日があっという間に過ぎるという。入社し2、3カ月は毎日がへとへとで、「ずっと動いている生活だったので、初めはデスクに座っていると違う疲労感があった」。だが、徐々に慣れ、週1回の市場調査や他社の競合ショップの売れ行きや販促を調べ、担当する店舗の参考にもしている。
早く仕事を任されるのは「一つ上の先輩も任されていて、心の準備はしていた」という。「自分が2店を動かしている」ことに、より責任感を感じている。独り立ちしたとはいえ、OJTの先輩は席が隣で、「何かあれば手を差し伸べてもらっている」。
販売員は年上が多いが、「温かくて、心配してくれる。電話でも『助かったよ』などお母さんのような感じ」で、信頼関係を築いている。新人が営業業務に配属されることは現場も分かっていて、一緒に育てるような雰囲気があるようだ。
今は1年の予算が決められた状態だったので、営業業務としてはこれから。目標はプレス。そこに向かって、「まずは今の業務で何でも聞いてと、言われるようになりたい」。就活生には「好きを追求すること」とアドバイス。自分が好きなことは面接でも話すのが楽しくなり、輝いて見えるはずという。
(繊研新聞本紙23年10月23日付)