5月9、10日に東京国際フォーラムで開かれたテキスタイル商談会のプレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)25年春夏では、急激な円安や気候変動に対応した出展各社の取り組みが紹介された。来訪者が例年より増えたとの声もあり、不透明な状況下でも新しい素材との出合いを求める来場者でにぎわった。
【関連記事】PTJ25年春夏 技で表面感と機能両立 不透明な環境も強み生かし対応
会場には日覺昭廣日本繊維産業連盟会長、田上博道経済産業省製造産業局生活製品課長らも視察に訪れた。学生など若い世代の来場者も多い。各方面のファッション業界関係者からの注目が集まるなか、各企業は多彩な素材をアピールした。
2年ぶりの復活出展となったシャンブレー(東京)は、長期化する猛暑への対応として、夏向け素材でも秋色を増やすことで晩夏・初秋まで使える素材を拡充する。日本と中国で商品をストックしており、中国で販売する場合は中国拠点での元決済が可能なため、輸出入経費を削減できる。
ドゥミルサンク(愛知)は、ウールが持つ優れた体温調節機能を生かしながら、編み地や加工の変化で綿ライクに仕上げた商品を打ち出す。丸編みのカットソー製品にフロッキー加工を施したシアーアイテムが人気。為替だけでなく物流費の高騰に対しては、段階的な値上げで対応する。
宇仁繊維は、湿気を逃がし着心地が良いアセテート使いの素材を揃える。ユーザーから吸放湿性などの機能性を求める声が多く、ニーズに応じた拡充を進める。円安については追い風と捉え、世界各国での新規開拓を進めている。
展示会としても新たな取り組みが始まった。今年度から「ワッツネクスト・サステイナブル」のブースを、取り組み事例やトピックスを紹介するコーナーへと刷新。今回は、インフォグラフィックバナーによるファッション産業と自然環境を取り巻く「10年間の変化」の紹介と、綿花、亜麻、ポリエステルのペレットなど、代表的なアパレル素材の原料を展示した。企画した一般社団法人ユニステップスの竹村伊央共同代表理事は「サステイナブルへの取り組みは、啓発から実践のフェーズに移るべき」と話し、今回の展示を通じて、各企業が実践への意識を持つことへの期待を述べた。