ふかじ先生のWEBマーケティング教室⑦(深地雅也)

2018/08/24 06:28 更新


ECで売上を最大化するにはどうしたらいいのか?

*ふかじ先生の過去ブログはこちら

①自社ECとECモールの使い分けについて

前回までの授業では、「課題抽出と対策」と「具体的な集客方法」についてお話してきました。本日はその一歩先、具体的にどう売上を伸ばしていくのか?についてお話できればと思います。


○テクニカルな話は二の次!

初回の授業でもお話したように、ブランドとして確立されていない・ファンがいないショップがいきなりECを始めても売れる訳がありません。まずは自分たちのショップのファンはどれくらいいるのか?そして、どれくらい売っていきたいのか?でやっていく施策が大きく変わってきます。

例えば我々がよく手がける案件では、ブランド創設間もないクライアントが多くいらっしゃいます。これ、フルフィルメント事業者からすると全然おいしくない案件なんです。


わかりやすいように比較対象として、ファンを獲得できているブランドの売上対策を見てみましょう。既にブランドとして確立されていてファンがショップについているケースだと、ECを始めたら売るのは非常に簡単です。恐らく具体的な施策としては下記になるでしょうか。

①広告
②ポイント一元化
③店頭在庫とECの在庫を連携させる
④メルマガ・LINEの運用

上記に共通しているのは「既存のファンにいかに買ってもらうか?」という視点になります。つまり機会損失を防ぐという事。これが売上アップ対策としては一番簡単且つ、ファッションの事がわからなくても売上アップが望める。それぞれ簡単にご説明していきますと...

①広告

なぜ広告が必要になるかと言いますと、「ブランドは知っているけどECを認知していない人」をターゲティングする必要があるからです。つまり「既にファンである」かもしくは「認知している人」に向けての施策です。

②ポイント一元化

店頭ポイントとECのポイントを一元化する事により、ECでのお買い物を促す施策です。これも普段店頭でお買い物している方に向けてになりますね。逆にECで貯めたポイントも店頭で使えますから相互送客が見込めます。

③店頭在庫とECの在庫を連携させる

ECで商品の在庫を見ていると、同商品の在庫が出店店舗のどこにあるのか?が見れるサイトがあります。

これは機会損失を防ぐ方法としてはわかりやすいですね。EC用の在庫が品切れしたら終わり...ではなく、在庫がなくなっても違う店舗にあれば購入可能。ECを店舗の1つとして位置付る、「店間移動」と同じ発想です。

④メルマガ・LINEの運用

売上アップには当たり前の施策なんですが、そもそも登録者を増やすのが一番難しい。しかしファンが既にいればここの数も見込めますので、メルマガ・LINEに登録して頂けるとECの訴求がすぐ可能になります。

ざっくり説明しましたがこんな感じです。ファン獲得ができていない場合はこの連載の第一回二回をお読み頂ければと思います。


○ECモール活用は効果的なのか?


その後は上記①~④を進めていきながら新規獲得を狙います。新規獲得の手法も様々ありますが、手っ取り早く売上最大化を目指すならECモールへの出店という手があります。しかしメリットとデメリットはあらかじめ考慮しておいた方がいいでしょう。これも下記にざっくりとまとめます。

<メリット>

・売上がすぐ伸びやすい

・今までリーチしていなかった層への認知度が向上

<デメリット>

・料率

・クーポンやセールでのロス

・顧客リストが獲得できない

売上が最大化できる上に認知が伸びますが、料率(モール出店の為の家賃のようなもの)がやけに高い場合もあります。大体は売上の30~35%程度と言われています。ブランドとモールのパワーバランスによったりしますので、ブランド力が弱いと高く設定されることもあるでしょう。

で、モールの売り方ってどこも共通しているのが「セール」や「クーポン」でお得感を煽る手法。これがブランド負担のところもありますので、ここのコストが結構バカにならない。で、最大のデメリットが顧客リストが獲得できないこと。マーケティングデータとしても再販してもらうデータとしてもめっちゃ重要なポイントなので、これが取得できないのが辛いところです。

これらを見定めた上で、交渉も上手くいって利益が獲得できそうであれば出店もありだとは思います。ただ、昨今のモールってめっちゃお得にお買い物できるようになってますから、ここで認知広がっても自社に連れてくるのは相当難しいです。ですから、ECモールでの売上はそこでしか獲得できないものだと割り切って使った方がいいでしょう。


○ECモールにも特性がある


ECモールと一括りに言ってもその特性は様々です。Amazon、ZOZOTOWN、楽天、SHOPLIST、マルイウェブチャンネル、マガシーク、ロコンドなどなど。ファッション業界には様々なECモールが存在しており、顧客層も規模感も全く違います。自社がそのモールに出店してどの程度の売上を見込んでいるのか?そしてそこで発生する手間やコストはどの程度になるのか?は事前に確認しておかなければなりません。でないと、

売上上がらないのに手間とコストばかりかかってしまう…

なんていう事態を引き起こしてしまう可能性があります。モールってもはや1つのプラットフォームですから、そこで売上を上げる手法もまた様々なんです。EC担当者はそういった事も頭に入れながら売上最大化を目指さなければならないでしょう。

結局はブランドとしてファン獲得できていれば利益を最大化できるのはここでも如実に現れていますね。売上を最大化する事は大切なミッションである事は間違いないですが、優先順位を間違えて手間とコストがかかる割に利益が喰われるなんていう事にならないようお気をつけください。

では次回は売上を最大化する為に卸先をどう活用するか?に、ついてお話していきたいと思います。

ふかじ・まさや スタイルピックス代表。ラグジュアリーブランドのリテール管理と全国セレクトショップへのホールセール担当を経て、起業。高級衣料品、ミセス、ヤングカジュアル、などの経験を基に、ファッションに特化したECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を展開。スタートアップブランドの支援を中心に活動。その傍ら、服飾専門学校の講師も務める。深地さんのツイッターフェイスブック



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