【販売員のやりがいってこんなところ】ポーター表参道店副店長 武藤愛さん 自分の言葉で魅力を伝える

2024/06/19 00:00 更新


社内のアットホームな雰囲気の中でスキルを高めている

 EC販売の利用が増えているが、実際に店に足を運び、商品を見て、触って購買したい客も多い。販売職にとって、やりがいと接客技術の発揮しどころでもある。日々のスキルアップに努めながら、寄り添った接客や共感してくれる客への販売に魅力を感じている。

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 「学生時代から人と話すことが楽しく、接客業に関心があった」とは、ポーター表参道店副店長の武藤愛さん。誰にでもフラットな姿勢と柔軟な対応で接し、武藤さん目当てに来店する顧客も多い。「自分の言葉で商品の魅力を伝えられることは一番のやりがい」と、社内のアットホームな雰囲気の中でスキルを高めている。

 20年春に新卒で入社。就活では特にファッション業界を目指したわけではなく、ホテルなど業界を問わずに好きな接客が生かせる企業を目指した。吉田カバンは大学の就活セミナーで、「技術を大切にしながら社員が一丸となって一つのブランドを作り上げて、販売していく」ことを知り共感。面接では、社員というより一緒に頑張ってくれる仲間を探しているような雰囲気を感じ、「ここで働きたい」と決めた。

話すのが好き

 配属は1年目が「クラチカバイポーター丸の内」店で、2店目が「ポータースタンド新宿」店。23年6月からは、旗艦店「ポーター表参道」店に異動し、副店長に就任した。同社は立地や品揃えで屋号が異なり、店によって雰囲気や客層が違う。丸の内店はビジネス向けが強くゆっくり店内を見る客が多い。新宿店はルミネエストの改札階で人の流れが速く滞在時間も短いなど、店によって接客やアプローチが変わってくる。

 アイテム数は多いが、定番に新作が加わるスタイルで、社員の中で商品知識が統一されており、異動になっても対応できる。自社で企画し販売するため、商品のこだわりやストーリーをじかにインプットでき、客に伝えられることは同社の販売職ならではの魅力となっているという。

 表参道店は今、インバウンド客が半数以上を占め、事前に調べて「これを下さい」という要望も多い。武藤さんは言葉が通じないなど言語の壁を感じることもあるが、伝える文書をまとめて活用したり、英語や中国語ができるスタッフに協力してもらいながら対応している。武藤さんは「カタコトのレベルです」と笑う。海外客からは特に、「本当にありがとうございます」と言われることも多く、日本の接客やおもてなしが感動されるレベルにあるように感じる。日頃から身に着けた当たり前の接客をしているが、感謝してもらえることはやりがいにもつながるという。

1、2階のポーター表参道店にはリペア工房も備える(奥)

立場は関係ない

 表参道店は平日でも10人以上のスタッフが在籍。武藤さんは全体を俯瞰(ふかん)して見るように心掛け、チームで動けるようにスタッフが働きやすい環境を作るように努めている。入社時から意識しているのが、ほかの人の接客をよく見ること。武藤さんよりキャリアの長いアルバイトの人もいて、自分の接客を見直すきっかけにもなっている。ゆくゆくは店長を目指し、エリアマネジャーのような仕事もしたいという。

 「もともと性格的にあまり悩んだりしない方」という武藤さん。迷った時や困った時は、副店長という立場に関係なく、周りの人に意見を聞くようにしている。自分よりキャリアが上の人やほかの屋号経験者もいて、相談やアドバイスを吸収しながら、違った視点で物事が考えられるように意識している。それぞれの良さやスタイルがあり、自分にもほかの人が出せない味がきっとあると思っている。

 吉田カバンの販売職は色々な人とかかわれるのが魅力という。アパレルはシーズンごとに商品が変わることが多いが、カバンの一つひとつにストーリーや歴史があり、その背景も含めて伝えらえるからだ。リペア部門もあり、「お客様に薦めた商品を長く愛用してもらえる」のもポイントとなっている。街中では「当社の商品を見かけることも多い」と、充実感を抱いている。

■ここがすごい!

 「副店長として、スタッフがいかに働きやすく働けるか、楽しく働けるかなどを考えてコミュニケーションを取ってくれて大変助かっています。明るく元気なキャラクターで彼女のことを嫌いな人には会ったことがありません! あうんの呼吸で、私がやって欲しいことをくみ取ってくれてサポートしてくれます。とても頼もしいです」(ポーター表参道店店長 原田崇史)

(繊研新聞本紙24年6月19日付)

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