佐藤せんせの算数で極めるMDへの道③
大手セレクトショップでMD(マーチャンダイザー)を務めていたマサ佐藤。バリバリと仕事をしていたマサだがその実、30代後半になるまで数値管理にはまったく疎(うと)く、本格的に始めたのは大手チェーン店に契約社員として入社した38歳になってからという。
そこで鍛えられてフリーランスになったマサは、夜ごと、ホームである三軒茶屋界わいで、悩めるバイヤーやMDに講義を行っている。自称・三茶大学の先生であるマサ佐藤の20余回にわたる講義を覗いてみた。
■ 前回のレポートはこちら→MDの目的って何?
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Dさん前回の問題の答えわかりましたか?
はい。やってきました。ただ、MDと粗利益率とにどういう関係性があるのか考えたのですが、いまいちわかりませんでした。
なるほど。答え合わせは後に回して、では、MDの仕事の中身について説明していきましょう。
はい。わかりました。
MDの仕事を大きく分類すると。商品面の仕事。数値面の仕事に分類されます。これを私は勝手に商品面をソフト。数値面をハードと呼んでいます。ではMDの仕事をソフト・ハードに分けて箇条書きで記してみると、まずはソフト面の仕事からーー
・ブランドコンセプト作成・ トレンドコレクション分析
・シーズンテーマ作成(カラー・生地・ディテール等)
・展開MAP作成(スタイリング・VMD・主力商品の選定)
・バイイング ・デザイナー・生産・パターナーとの連携
・プレス(販売促進)との連携 ・展示会活動
ふむふむ。
ハード面の仕事はーー
・MDスケジュールの作成 ・過去データ分析 ・競合店分析
・売上・粗利・仕入・在庫の予算設計。期中コントロール
・追加商品ジャッジ ・セール時の売変計画(粗利コントロール)
わかるような、わからないような。
会社によって方法は様々ですが、ざっとこんな感じです。大きい会社などはこの仕事を分担しているところも多いんです。
うちの会社は分けてはやってませんね。特にハード面の仕事はなんとなくになってますね。ハード面の仕事にセール時の売変計画(粗利コントロール)がありますね。だから前回のような問題を出したのですね。
そうです。ところで問題はこうでしたね。
原価率が35%で仕入れた商品を30%オフした場合、粗利益率は率は何%になるでしょう?
答え、わかりました?
粗利益率は50%です。
それを読者のみなさんにわかりやすく説明できますか?
自分なりにいろいろ考えてたらこうなったので、ん~でもうまく説明できません・・・
では私がわかりやすく説明してみしょう。まず、今回は売価1000円の商品を仕入れたとしましょう。そうすると原価率は35%なので、原価は350円です。1000円の商品を30%オフするとセール売価は700円です。その情報を加え下記図にしてみるとこうなります。
あ!なるほど。上の図でいくと、粗利益高は700-350で350円。セール売価は700円なので、粗利益高÷売価は粗利益率。350÷700で0.5。よって粗利益率は50%です。
そうです。その通りです。1000円とか100円とか、計算しやすい数字を使うと一見難しく感じることも簡単にわかるようになりますね。
本当にそうですね。ところで、セールして売ると粗利益が下がるんですね。
その通りです。MDの重要な目的の一つは粗利益高を少しでも多くとることです。セールして売ると粗利益が下がることをよく覚えといてください。
はい。わかりました。うちの会社でも価格を決める権限はMDにあるのでよく覚えておきます。
では次回は「売価」「原価」「粗利益」の関係性について更に深く説明していきます。
はいわかりました。次回も頑張ります。
95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。
02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。
10年よりフリーランスとして活動開始。
シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。
その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、
様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。
小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。
現在、多方面で活躍中
www.msmd.jp