佐藤せんせの算数で極めるMDへの道⑤
大手セレクトショップでMD(マーチャンダイザー)を務めていたマサ佐藤。バリバリと仕事をしていたマサだがその実、30代後半になるまで数値管理にはまったく疎(うと)く、本格的に始めたのは大手チェーン店に契約社員として入社した38歳になってからという。
そこで鍛えられてフリーランスになったマサは、夜ごと、ホームである三軒茶屋界わいで、悩めるバイヤーやMDに講義を行っている。自称・三茶大学の先生であるマサ佐藤の20余回にわたる講義を覗いてみた。
■ 前回のレポートはこちら→MD数値の基本を知ろう
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まずは前回出した問題。原価率が25%で仕入れた商品を40%オフで売った場合、粗利率は何%になるでしょう。
来ましたね問題。実は自主練してて、説明しながら回答できますよ(笑)。
おっ。それはすごい!では読者の皆さんにもわかるように答え合わせしてみてください。
まず、今回は売価1000円の商品を仕入れたとしましょう。原価率は25%なので、原価は250円です。ということは値入率は(1-原価率)75%。1000円の商品を40%オフするとセール売価は600円です。
その情報を加え下記図にしてみるとこうなります。
上の図でいくと、粗利益高は600-250で350円。セール売価は600円なので、粗利益高÷売価は粗利益率。350÷600で0.583。よって粗利益率は58.3%です。あと、セールして売ったことで、プロパーで売れれば値入率が75%なので、粗利益率75%とれたものが58.3%になってしまいます。
正解です。素晴らしい!そうなんです。ここで重要なのは(同じ原価(値入)率だと)セールして売ると粗利益率が下がるということなんです!これを必ず覚えておいてください。
(頷く)
あと、実をいうと前回言い忘れたことがありまして・・・。
言い忘れたことって何ですか?
言いづらいのですが、ロスの説明してませんでした。すいません。
ロス?ロスってよくロス率とか言いますけど、そのことですか?
はい、そのことです。ロスは日本語にすると「失う・失くす」という意味。なんらかの理由で商品がなくなってしまうことをロスと言います。
服屋でいえば、商品がB品でダメとか、棚卸するとあるはずの在庫がない。要は失くしてしまったり、言い方悪いですけど、盗まれてしまったりことですね。
そうですね~。あとは、食品関連だと廃棄ロスとか・・・服屋も無縁ではありませんね。Dさんの解いてくれた問題をそのまま利用して、下記の図をご覧ください。
上記の図は先ほどのDさんの解答に、営業後棚卸してみたら、あるべき在庫から50円の原価分足りなかったとういことを記してみました。Dさんどこか気になる点ありませんか?
あれっ?荒利ってのが登場してますね。荒の意味って粗と同じですか?
よく気づきましたね。そうなんです。荒利益ってのが初登場です。ここから説明する、荒・粗利益の使い分けはあくまで私が使っている考え方なのでそう思って聞いてください。
へい。
荒利益は営業期間中のロスを入れないのが、荒利益。粗利益はその営業期間中のロス原価を荒利高から引いたものを粗利益と表現します。ブランド・ショップを語る上で使うのは粗利益の方です。
そうなんですか~棚卸のたびにロス率がなんとか?いう話は聞いていましたが、MDにも密接に関係しているんですね~。
そうなんです。これをよく理解してください。ロス率が高いと儲けが減るので、ロス率はなるべく低く抑えたいですね。
ギクッ・・・うちの会社ってロス率どのくらいなんだろう?
では皆さんまた次回(笑)。
95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。
02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。
10年よりフリーランスとして活動開始。
シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。
その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、
様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。
小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。
現在、多方面で活躍中
www.msmd.jp