【専門店】ウェブノウハウを生かした新たな挑戦㊤

2019/04/29 06:28 更新


【専門店】ウェブノウハウ生かし新たなチャレンジ 独自のアプローチや品揃えで攻める

 ブログで顧客の支持を広げてきたセレクトショップが異なる販売手法に着手したり、ウェブメディアを配信する企業が個性的な店を立ち上げるなど、新たなチャレンジが目立つ。ウェブ活用のノウハウや実績を生かし、他店とは違うアプローチや品揃えで、ファッション好きの要望をつかもうとしている。

店外でマンツーマンの濃い提案へ

アテリエ

 東京・青山にある「アテリエ」(石崎孝之代表)は、ブログで仕入れのエピソードなどを紹介し、週末に時々店を営業する個性的な店。ブログで告知したモノを求めて店に行列が生まれ、即完売するという現象が注目されたが、18年からビジネスモデルを変更し始めた。

 価値観の合う顧客に対し、店舗外で1対1で会って提案する〝外商〟のような販売手法を積極化している。これまでウェブでお客を広くつかんできた実績を生かし、一人ひとりの顧客に合わせた〝濃い〟提案を実現しているところだ。

 同店は今年8月でオープンから9年が経つ。石崎さんは買い付けや仕事のアイデアを探すため、ほぼ毎月海外に出掛けている。出会った職人や気になったモノなど、店で扱う商品が見つかる過程をブログで紹介するうちに、関心を寄せて全国から店にやって来る人が増えた。ブログで紹介したモノを求め、首都圏だけでなく、北海道や九州からも来店があり、行列と完売を繰り返した。扱い商品の消化率はほぼ100%という。

 だが、「もともと自分が良いと思うモノだけ提案していたが、お客から求められるものも多くなり、少しブレたり、疲れを感じていた」ので、18年から「もう一度本当に自分が欲しいモノだけを提案する」形に切り替えた。

「自分が好きなモノを納得して買ってもらいたい」と外商のような提案を始めた石崎さん

 現在、主力に提案するのはバッグ「アカルミー」や靴「リーバー」、ジーンズ「バワリーブルーメーカーズ」など。どれも自身が「プロダクトとして素晴らしいと感じたもの」が中心だ。中でも靴やバッグは、「服では味わえない高揚感や所有欲を感じることが出来るもの」として提案を重視する。

 同時に、「もっと納得して購入してもらいたい」と、上顧客と青山や銀座などで待ち合わせ、店外で直接商品を提案するアプローチも開始した。客層は経営者やファッション業界で感度の高い仕事をしている人などが中心で、年代は30代前半からが多い。

 外商に似た販売手法をスタートして1年が経つが、手応えは順調だ。店全体の売り上げは伸び続けている状況で、従来からある販売手法の売り上げを上回っている。「同じ趣味を持つ人も多いので会話は弾む。その人が次に欲しいモノも分かりやすい」と振り返る。

主力ブランドの一つ「リーバー」(写真はブログから引用)

(繊研新聞19年2月21日付)



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