シャトル織機事業者が交流会 経営者・技術者の悩みを共有

2024/06/26 11:30 更新


技術者たちが集まりエニシングの前掛け工場の織機を例に議論した

 シャトル織機による物作りの活性化を目指す「シャトル織機次世代ネットワーク交流会」が6月15日、愛知県豊橋市で開かれた。全国のシャトル織機の事業者など10社から経営者、技術者が集結。繊維産地間のつながりを通じて、課題や情報を共有し、繊維産業の活性化を志す。

(森田桃子)

 同交流会は愛知県豊橋市二川で帆前掛けを作るエニシングが主催し、22年に初開催した。前身はエニシングのほか、会津木綿のはらっぱ、埼玉・羽生の小島染織工業など旧式動力織機で物作りをする4社が集まり、名古屋や東京都内で開催していた合同マルシェ。経営者が集まり話し合う中で「経営課題が一緒だと気付いた」と、エニシングの西村和弘社長は話す。こうした話し合いの場を全国に広げることで、産地間の交流を促し、課題解決と活性化につなげたいと考えた。

 22年の第1回では、新たにシャトル織機の導入を検討する企業が参加し、交流会を通じて出来た人脈をもとに全国の工場へ学びに訪れるなど、産地間のつながりが深まった。

 2回目となる今回は、豊橋市のエニシング前掛けファクトリー&ファブリックラボで開催した。参加したのははらっぱ、久留米絣の坂田織物、遠州平織りの古橋織布とカネタ織物、富士吉田のリネン主力のテンジン、久留米工業大学など。遠州産地の織物を主力とするアパレルメーカー、ハウスの松下昌樹氏などのゲスト講演のほか、経営者と技術者に分かれて情報を共有した。

生地サンプルなども持ち寄って各社の物作りの特徴や技術を共有

 経営チームでは機械・部品に関する悩みや人手不足の状況、今後の展望について議論が白熱した。技術チームではエニシング技術顧問の東義和氏や水山織布の水山貴嗣氏を講師に、各社の課題や織機の仕組み、メンテナンス、安全面について話し合った。

経営課題では部品不足や人材の定着性について話し合った

 高速織機が主流となった今、シャトル織機は部品不足や修理・メンテナンスにたけた職人の高齢化、技術継承などが問題となっている。情報共有を通じた課題解決や協業会社を含めたネットワーク構築、ベテラン技術者から若い技術者への技術をつなぐ場として、今後も年1回のペースで開催する。



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