スノーピーク、新中計を発表 21年に売上高185億円へ

2019/03/08 06:30 更新


 キャンプ用品メーカーのスノーピークは、21年12月期の連結業績で売上高185億円、営業利益28億円を目標とする中期経営計画を発表した。18年度決算では、19年度に達成を目指していた営業利益率を前倒しで達成したことから、19年度以降の計画を上方修正。海外市場の深耕や、キャンプ場運営など〝コト売り〟の強化で高い成長性と収益性の向上を図る。

(杉江潤平)

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 これまで売上高目標は19年度が134億円、20年度が153億円としていたが、新中計ではそれぞれ140億円、160億円へと引き上げた。19年から21年までの年平均成長率は15.2%と、引き続き高い水準となる。

 成長戦略の一つに据えるのが海外事業だ。18年度の海外売り上げ実績は、米国や韓国、台湾などで約23億円だが、これを21年度までに42億円へ、売上高比率も19%から23%に引き上げる。中国や英国での販売を始めるほか、以前から販売している米国などでは、スノーピーク直営の高規格キャンプ場を作り、ブランドの世界と日本式のキャンプスタイルを広める。

 もう一つの成長の柱は、キャンプ場やグランピング(ぜいたくなキャンプ)場の運営、工務店などと組むアーバンアウトドアといったコト(体験価値)自体を販売する事業だ。18年度はこれらコト関連で約8億円を売り上げていたが、21年度にはこれを26億円に、売上高比率も7%から14%へと高める。

 コト事業では特に、直営またはFCによるキャンプ場の拡充と、ユーザーに1泊2日で同社製品を貸し出す「手ぶらキャンプ」プランの利用増加に期待を寄せる。スノーピーク直営のキャンプ場は現在、大分県日田市など5カ所にあるが、包括連携協定を結ぶ自治体は11に広がっており、キャンプ場はFC含めてさらに増える見込み。

 一方の手ぶらキャンププランは、テントや寝袋、クッカーなど一式を4万5000円で貸し出し、スタッフのサポートも付けるサービスで、現在直営キャンプ場と、10の提携キャンプ場で提供している。本社のある新潟の直営キャンプ場では、同サービスの利用者が年間300~400組に上るという。今後は同サービスを提供する提携キャンプ場を増やすとともに、周辺にあるスノーピーク直営店から送客するなどして利用者を増やす施策を講じる。

 同社は4月27日、四国最南端にある高知県土佐清水市に、同社として6拠点目、高知県では2拠点目となる直営のキャンプ場を開業する。

 同社では初の海に面したキャンプ場となる。国立公園内に位置する「スノーピーク土佐清水キャンプフィールド」は、約2万5000平方メートルの敷地に、60のキャンプサイトと、建築家・隈研吾氏と同社が共同開発したモバイルハウス「住箱」を12棟設置する。敷地内には、スノーピーク直営店も構える。

キャンプ場運営など“コト売り”を強化する(4月に高知県に開業するキャンプ場)

スノーピーク18年12月期連結 大幅増収で過去最高益

 売上高は予想を上回り、120億7000万円(前期比21.8%増)、営業・経常利益は過去最高となった。キャンプ用品事業は初心者向けキャンプ製品が好調で100億5300万円(18.2%増)。初心者用テントとタープのセット品や2ルームモデルの投入、初心者用商品を集積した専用売り場を11月に国内223店へ開設したことなどで、エントリー製品の18年度の国内販売数は計3.5万張(17年度1.6万張)、国内売上高は11億円(3億4000万円)となった。

 アパレル売上高は14億5600万円(48.1%増)となり、事業開始5年で単年度黒字を果たし、全社売上高構成比も12%(17年度は9.9%)になった。利益率の高い新製品の販売比率向上や棚卸評価損の減少などで粗利率は53.3%(49.8%)。一方、販売・管理費の増加は粗利益の伸び率を下回り、営業利益は9億2000万円(前期は1億4100万円の赤字)となった。



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