名城大学の「トップリーフ」は、衣服の大量廃棄に問題意識を持ち、不用になった衣服に新しい価値を付加してよみがえらせている。アップサイクルして販売するイベントのほか、産地協業や産学連携の取り組みも盛んだ。
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〝使う責任〟果たす
トップリーフが重視するのは衣服の〝価値〟だ。少しの傷や汚れで簡単に衣服を廃棄してしまうのは「その衣服に価値を感じていないため」。低価格で量産型のファストファッションほど「価値を感じにくく、すぐに捨ててしまうのでは」と考える。
リペアやリメイク、アップサイクルなどの一工夫で新しい価値は生み出せる。「一人ひとりの小さな行動で、少しでも衣服の大量廃棄問題を改善したい」と、代表の小野寺健心さんは話す。
活動理念は「行き場のない物を価値ある物へ」。SDGs(持続可能な開発目標)の「つくる責任、つかう責任」も意識する。21年に設立以来、知り合いの紹介を通して理念に共感する学生が入り、メンバーは20人ほどに増えた。
プロの力を借りて
「有松絞りまつり」で早恒染色と協業し、絞り染め体験を行った。参加者が持参した衣服や、大学で回収した綿素材の衣服を使用。絞り染めで不用になった衣服に付加価値を付けた。
無印良品の店舗でイベントをしたこともある。メディアに紹介されたことがきっかけで声がかかり実現した。不用になったTシャツを破り、撚って1本のひもにし、ショルダーストラップにするワークショップは多くの親子が参加した。
24年3月には「きものプロジェクト」で、回収した廃棄予定のきものをアップサイクルしたあずま袋の販売などを行った。アップサイクルは洋服やきものの直しを専門とする「タータン9.33」と「おぼろ月夜」、椙山女学園大学の学生の三者協力で制作した。「トップリーフの活動で、廃棄以外の方法があることを多くの人に知ってもらいたい」と意気込む。
課題は後輩への引き継ぎだ。小野寺さんは設立メンバーのおしゃれさに憧れ、仲良くなるうちに、アップサイクルに魅力を感じて団体に入った。
小野寺さんは先輩と共に活動し思いや理念を共有してきたものの、次を担う世代は設立時を知らない。後輩のモチベーションや主体性を促しつつ、存続の願いを込めて後輩に託したいと考える。
(小坂麻里子)