この時期、ファッション専門学校の卒業作品展に呼ばれます。審査員をすることも多く、学生は学業の集大成として、また将来のステップとして作品を出すわけですから、こちらも真剣に見ます。
学校によって、特徴があるのも楽しみの一つです。クリエイション全開だったり、店頭に出しても売れそうなリアルクローズが揃っていたり、素材つくりが凝っていたりといろいろです。 最近の卒業コレクションを見ていて思うのは、アンデンティティや、育った環境をベースにしながら、なにものにもとらわれない自由な発想の作品が増えていること。とてもいいことだと思います。
教育評論家の尾木ママがソチオリンピックで10代、20代前半の若者が活躍していることを、ゆとり教育の成果といっていました。今、教育界や産業界から、学力面でゆとり世代への批判(本人たちに責任は全くありませんが)が出ています。しかし、伸び伸びと自己表現する能力が育っていることは、言えるのではないでしょうか。同じことを最近の卒業作品展で感じたわけです。
そして、もう一つ気になったのは、優秀な学生であっても、いまだに求職中の人が多いこと。コンセプトメイク、デザイン、素材とも独自性があるのに、もったいないなあという思いを深めました。ゆとり世代ならではの力を、受け入れる先が増えてほしいですね。
古川富雄 大阪支社編集部長が、関西のファッションビジネス情報の周辺、裏を紹介