ショッピングセンター(SC)もずいぶん変わってきました。かつては物を効率的に買う場であったわけですが、それだけでは今の人々の欲求は満たせません。
最近、2つの改装SCで感じたことがあります。それは、グリーン。そこに人が集まり、快適さを感じて、長居をする。そんな役割をSCが持とうしている気がします。
4月24日、神戸・三宮の国際会館(SOLというSCが入居してます)の屋上に「そらガーデン」ができました。今やプラントハンターとして時の人になっている西畠清純さんが手掛けた屋上庭園です。
屋上庭園
そのシンボルとなっているのが、スペインから輸入した樹齢500年のオリーブの木。
オリーブですから、くすのきのような巨木ではありませんが、その風貌には圧倒されます。いずれはうっそうとした森となり、たくさんの花や実が付くことになるそうです。
樹齢500年のオリーブの木
庭園にはもともと「トゥーストゥース」のレストランがあり、グリーンと一体化する特別な場所になるかもしれません。
庭園そのものは1円の売り上げもつくりません。それでも国際会館が莫大な費用をかけて整備したことは、今後のSCのあり方を示していると思います。グリーンをめざして時間を過ごし、樹木の変化を感じながらリフレッシュする、そんな場を人は求めるのでしょう。
中央がプラントハンター、西畠清純さん、左はトゥーストゥースを運営するポトマックの金指光司社長
5月8日には、大阪駅に直結したルクアイーレに蔦屋書店ができました。3300平方メートルを超える売り場には500席という無料スペースがあります。
ここでコーヒーを飲みながら自由に本を読める。多くの樹木があり、照度を落とした空間で目にも優しい。しかも、冷凍・冷蔵食品も預かってくれるクロークもあり、至れり尽くせり。
樹木が多い蔦屋書店
ネット時代にあえて、書籍というアナログアイテムに焦点を当て、他にはない空間を作り上げている。都心の駅ビルがこうした店舗を入れたのも、今の人々のニーズを先取りしたんだと思います。
照度を落とした蔦屋書店の内装
スターバックスが入居
古川富雄 大阪支社編集部長が、関西のファッションビジネス情報の周辺、裏を紹介