東レのテキスタイル事業部門 人工気象室で開発強化

2019/01/04 06:25 更新


 東レのテキスタイル事業部門は商品開発に引き続き力を入れる。「消費者目線に立った開発や打ち出しが重要。そのために人工気象室『テクノラマGⅢ』をフル活用し、機能を〝見える化〟する」(鳥越和峰部門長)考え。また、国内外のコンバーティングを強め、提案の幅を広げる。

同部門は、婦人・紳士、スポーツ・衣料資材、ユニフォーム(機能製品)の3事業部で構成する。昨年4月の部門再編を契機に、事業部横断での連携を強めている。ユニフォーム素材をファッションやスポーツ向けにアレンジしたり、スポーツで先行したストレッチ素材「プライムフレックス」をファッションに提案するなど具体化が進む。

 「スポーツがファッションに入り込むなど、ジャンルごとの垣根が低くなっている。社内で情報共有しながらシナジーをさらに追求する」構え。ブランディングでも消費者目線のスタンスを徹底し、従来は開発素材ごとに別々にブランド名をつけていたものを、プライムフレックスのように分かりやすい切り口で集約する。

 開発面では昨年、滋賀工場内に完成したテクノラマGⅢの運用を加速する。客先と一緒に開発に取り組み、各用途で機能の〝見える化〟を進める。

 テキスタイルオペレーションでは、自社の原糸・原綿、高次加工技術をコアにしながら、北陸との取り組みのようなコンバーティングを国内外で強める。特にファッションは東麗国際貿易中国(TICH)が先行する海外コンバーティングも活用し、バリエーションの拡充や量的なカバーにつなげる。

同事業部門の18年度上期(18年4~9月)は、前年同期比増収増益で計画を上回った。ファッションは新しい商品や取り組みが進展し、スポーツは国内の大手向けや輸出の新規が好調だった。ユニフォームは官需が低調だった影響で下振れしたものの、ワーキングや別注は堅調。下期は原料や染色コスト上昇分の価格転嫁を目指し、品転による付加価値アップも進める。

滋賀工場に新設した「テクノラマGⅢ」をフル活用する


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