阪急うめだ本店の3、4階婦人服が3月2日に全面改装オープンする。これまでの「年齢別×グレード」の構成を一新し、「グレード×趣向性」をベースに婦人服を再編成した。
次世代顧客獲得のためのゾーンとなるシスターズクローゼットだけは年齢軸で構成したが、それ以外は「趣向性」を軸にグレードもミックスする形でブランドを配している。「ブランド価値だけでなく、ブランドを超えた新しい価値の提供」が改装の狙い。
コンテンポラリースタイルを提案する4階では、ほとんどのブランドが横壁のない「ワンウォール」(後ろ壁)と島什器のみで、ブランドの垣根を越えてスタイル提案、コーディネート提案する象徴的なフロアになる。また、自主編集・自主販売売り場を複数新設し、自主売り場は2倍強の約730平方㍍規模に広がる。改装後の年間売上高目標は、3階から4階に移設した婦人靴や婦人肌着などを含めた3、4階婦人ファッション全体で前年比20%増の330億円を掲げている。
●モードをグレードミックスで提案
3階は、グレードミックスで提案するモードとシスターズクローゼットゾーンで構成する。モードは、既存自主売り場の「D・エディット」を核とするデザイナーズと「エンフォルド」や「マークジェイコブス」などを配したクリエイターズで構成する。クリエイターズにはストリート発のブランドなどを集積した自主売り場「D・ラボ」(99平方㍍)を新設する。また、世界初となるカフェと雑貨などで構成する「マルニフラワーカフェ」や、ビンテージジーンズやクリエイター系ジーンズも提案するデニム売り場を配する。シスターズクローゼットは、国内外のネット販売で人気のあるストリートブランドなどを集積したヤングストリートゾーンや「第2化粧品売り場」ほか計4ゾーンで構成する。
●シーン・スタイル別編集に
4階は、アーバン、ウィークエンド、オフィス、ドレスアップスタイルの4つのシーン別にコンテンポラリースタイルを提案する。アーバンにはエレガンステーストの衣料、服飾雑貨、コスメを提案する自主売り場「ロビー・フォー・ウィメン」(198平方㍍)、トラッドを軸にした「ランドオブトゥモローランド」(188平方㍍)、マニッシュテーストを軸にした「ジョセフ・ザ・ストア」(86平方㍍)のテースト別の3つのセレクトショップを新設する。また、アーバンとオフィススタイルゾーンの双方に「23区」や「アンタイトル」を展開するなど、ブランドの“枠”を超えたシーン・スタイル提案を徹底している。オフィスでは、スーツのオリジナルブランドを開始するほか、スーツのパターンオーダーも導入する。
なお、プロモーションスペースを3階、4階婦人服に各3カ所配したほか、「他にない価値を創造する場所」と位置づける新たなコトコトステージ(約66平方㍍)をエスカレータ前に各1カ所開設し、情報発信性も高める。
●買い方の変化に対応
婦人服フロアの大規模改装は、「例えば、エンフォルドと3.1フィリップリムあるいはアレキサンダーワンとルシェルブルーなどグレードを超えて買い回っている現状があった。こうした買い方の変化について2年以上議論してきた結果」(阪急阪神百貨店の亀井潤一執行役員第一店舗グループ婦人服商品統括部担当)だ。
また、百貨店婦人服の課題として、ブランドの枠を超えた比較購買がしづらいことや「ありきたりのブランド揃え」になっている点を解消することも狙い。改装により、広域からのさらなる集客とともに、セレクトショップやネット販売で購買している客層や、同店の食料品や化粧品の固定客であるがファッションの購買が薄い「店内新客」の獲得も見込んでいる。
今春の3、4階の改装に続いて、今秋には5、6階婦人服も大規模改装する。