ユニクロは一日にして成らず 経営センスの道も一歩から

2026/06/30 15:00 更新有料会員限定NEW!


 ユニクロは何度〝別の会社〟になったのだろうか。郊外型低価格衣料店、SPA(製造小売業)、機能素材革新からLifeWearへ。転換を重ねるたび、競争軸を変えてきた。だが成熟市場の先で、変わったのは私たち自身なのかもしれない。「誰かになること」に疲れた時代、「ユニクロでいい」は今、静かに「ユニクロがいい」へ反転しつつある。

(ファッションカタリスト 小宮班誌)

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状態を着る

 かつて服は、「どんな人か」を示す道具だった。年齢、所得、趣味、職業など。ブランドは、そうした属性ごとに、人格やライフスタイルを提案していた。しかし現在、その前提は大きく揺らいでいる。価格帯は分離したまま、顧客の選択は横断化した。同一人物が、ユニクロも、コムデギャルソンも、古着も着る。

 さらにSNSによって、他者の価値観や感情は絶えず流れ込み、自己像はその場ごとに揺れ動いている。加えてDtoC(消費者直販)以降、ブランドは過剰供給状態に入った。選択肢は増え続け、もはや比較だけでは購入を決めきれない。いうなれば成熟市場とは、モノが飽和した市場ではない。むしろ選択肢が増えすぎ、「自分はこういう人間だ」と一つに決めきれなくなった市場である。だから人は今、「誰にどう見られたいか」だけでは、服を選ばなくなっている。


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