《視点》トラブルがきっかけで

2019/05/31 06:23 更新


 10年近く経つ自家用車をリコール対応に出した。熱で表面が変質してベタついたダッシュボードを無償交換したのだが、振り回された。

 例えば、でき上がり予定日を後ろに2度延ばされた。いつもよく使うセンターコンソールの電源が使えなくなるなど、不具合も複数あり、自ら解決する羽目に。「忙しい時期で…」と言い訳していたが、無料対応なので後回しにされたようで、今まで抱いていた信頼感をかなり失った。

 「クレームはチャンスに転じられる」という話が小売業にある。今回のリコールは無償のものだったが、丁寧に事情を話し、気の利いた対応をしてくれれば、「やっぱり頼りになる」と思ったかもしれない。

 ある中小専門店はあえて接客マニュアルを用意せず、スタッフに個性を生かした接客を磨くことを優先している。「このスタッフから買いたい」という客を増やすためだ。接客で多少の失礼が生ずるリスクはあるが、その場合はきちんとフォローできる体制も持つ。店の魅力を追求するための優先順位だが、考えようによってはうまく信頼という商機も実現しているのかもしれない。

(畔)



この記事に関連する記事