《視点》新語と感性

2020/03/04 06:23 更新


 ECサービスのベンダー企業の開発者の方と、かつて流行していたのに今では使われなくなった用語の話になった。当時は、どこでも情報ネットワークに接続できるという意味の「ユビキタス」が、今ではほとんど「クラウド」に取って代わったという話から始まり、他の言葉にも広がっていった。

 ITは技術の進歩が早く、古い技術や消滅したサービスは、すぐ死語になる。死語を使えば苦笑され、時代に追いつけていないと見られることも多い。ただ、すでにITも死語になりそうだが。

 ファッションでもチョッキやジーパンなんて言うと、馬鹿にされることもあるだろう。だが、言葉の新旧と感性は関係ない。例えば清少納言や松尾芭蕉に見られる、洞察眼に育まれた感性が生む表現は、流行どころか時代も超えて我々に響く。

 流行よりも大切なのは感性だと言い切りたいが、新語に追いつけない自分を慰めているようで何だか格好悪い。せめて「いとをかし」を「エモい」に転換できるぐらいの感性は必要か。

(樹)



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